武装商船

武装商船について

武装商船は、商業目的で通常運航されている船舶に武装が施されたもので、主に自衛、通商破壊、船団護衛などの目的があります。一般的には、貨物船や客船、油槽船といったタイプの船舶が含まれています。広義には国際法上の軍艦に準じる特設艦船も含まれ、狭義には民間人によって運航されているものが該当します。

武装商船の種類

武装商船は、その目的に応じていくつかのカテゴリーに分けられます。

1. 自衛用

最も一般的な武装商船は自衛用のもので、艦砲や機銃といった小規模な武装が施されています。歴史的には、海賊からの攻撃を防ぐために大砲を装備することがよくありました。近代においても、戦時中の通商破壊への対応のために商船が武装化されることがあり、日本では青函連絡船がその代表例です。また、最近ではソマリア沖の[[海賊]]問題を背景に、武装警備員が搭乗するケースも増加しています。

2. 通商破壊用

このタイプの商船は、長い航続距離を生かして中立国の商船に偽装し、敵の哨戒網を欺くことを目的としています。特に第一次世界大戦と第二次世界大戦においては、ドイツ海軍がこれを積極的に活用しました。ドイツ海軍は、このような船を仮装[[巡洋艦]]と呼び、強化装甲板を備えた商船を改装しました。

3. 船団護衛用

護衛艦艇が不足している時期に、商船を改造して船団護衛にあたるための武装が施された商船です。イギリス軍ではこの種の船を補助巡洋艦と名付けて運用していました。護衛用に改装された商船は航続距離や搭載力を持つ一方で、戦闘には不向きでした。

4. 特殊な武装商船

カタパルト装備商船(CAMシップ)

通常の商船にカタパルトと戦闘機を一機搭載したものです。船団護衛に用いられ、第二次世界大戦中にイギリスで広く運用されました。

商船空母(MACシップ)

飛行甲板を装備した商船で、護衛空母として機能しました。この船も通常の貨物運搬能力を持ちつつ運航されていました。

囮船・特務船(Qシップ)

通常の商船に偽装し、攻撃するために潜水艦をおびき寄せる役割を担っていました。

国際法における武装商船

国際法の観点から、武装商船は運航する者が正規軍士官か民間人かによって扱いが異なります。軍の指揮下にある場合は軍艦として認められ、特設艦船に該当します。逆に民間人が運航する場合、たとえ護衛空母に近い改造が施された商船でも、非軍艦としての規律が適用されます。

武装商船を軍艦と見なすための条約として、1907年のハーグ平和会議で締結された条約があります。この条約は、武装商船が軍艦となる要件を明記しており、旗国政府の管理下にあって、正規軍士官の指揮を受けることが条件です。

結局

このように、武装商船は軍艦としての資格を持つ場合とそうでない場合があり、それぞれに異なるルールが適用されます。これらの商船は、歴史的に見ても戦争の様相を形作る重要な役割を果たしてきました。

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