アレクシオス2世コムネノス

アレクシオス2世コムネノスは、1169年9月10日に生まれ、1183年10月に亡くなった東ローマ帝国コムネノス王朝の第4代皇帝です。父は同王朝第3代皇帝のマヌエル1世コムネノス、母は2番目の皇后マリアです。

生涯

父マヌエル1世にとって、長く待ち望んだ男子がアレクシオスでした。ギリシアの伝統では、長男には祖父の名前である「ヨハネス」が与えられるはずでしたが、占星術に凝っていたマヌエル1世が「アレクシオス1世の帝位は誰が継ぐのか？」と尋ねたところ、「ΑΙΜΑ（血）の順で継ぐ」という託宣が出たとされています。この託宣に基づき、マヌエルの頭文字「Μ」の次の「Α」をとって「アレクシオス」と名付けられました。

マヌエル1世は、神聖ローマ帝国との同盟を目指し、フランス王ルイ7世の娘アンナ（アニェス）をアレクシオスの后に迎えました。

1180年、父マヌエル1世の死によってアレクシオス2世は皇帝に即位しますが、当時わずか12歳という幼さであったため、政務は生母マリアが摂政として取り仕切ることになりました。しかし、マリアは亡き夫マヌエル1世の親ラテン政策を継承したため、国内の不満を持つ層の支持を得たアンドロニコス1世コムネノス（マヌエル1世の従弟で、マヌエルとは対立関係にありました）によって反乱が起こされ、1182年にマリアは殺害されました。

アンドロニコス1世は、帝国の実権を掌握すると、1183年にはアレクシオス2世と共同皇帝に即位し、完全に帝国の実権を掌握しました。しかし、アンドロニコス1世にとってアレクシオス2世は邪魔な存在となり、共同統治が始まってわずか2ヶ月後、アレクシオス2世は殺害されました。

この事件後、託宣の最後の「Α」は、実は「アレクシオス（Αλέξιος）」ではなく「アンドロニコス（Ανδρόνικος）」であったという解釈が広まりました。これは、アレクシオス2世の短い治世と悲劇的な最期を象徴する出来事として語り継がれています。

アレクシオス2世は、幼くして皇帝に即位し、権力闘争に巻き込まれ、短い生涯を終えた悲劇の皇帝として歴史に名を残しました。

もう一度検索