アレスティング・ワイヤー

制動索の歴史と技術

制動索（英: arresting wire）は、航空機が着陸する際に短い距離でその速度を制止する目的で使用されるケーブルです。この装置は、特に海上での航空機の着艦を支援するために重要な役割を果たしています。最初にこの技術が登場したのは、黎明期から第一次世界大戦の頃に遡ります。

黎明期の実験

1911年1月18日、アメリカ海軍の巡洋艦「ペンシルベニア」では、プラットフォーム上にロープを張りつけた試験が行われ、ユージン・バートン・イーリーが操縦するカーチス モデルDがその中の一本にフックを引っ掛け、わずか15メートルの滑走で停止しました。これが洋上艦への初の着艦となり、制動索の歴史的な出発点となりました。

初期の実用化

第一次世界大戦中、イギリス海軍の航空母艦「フューリアス」には初めて実用的な縦索式制動装置が採用されました。しかし、乱気流によってこの装置は十分な効果を発揮せず、多くの着艦試験で失敗が続き、その後、着艦甲板の使用を一時中止せざるを得ませんでした。これにより、他の艦船で同様の設計の導入が行われることはなかったのです。

戦間期の進化

1920年代に入ると、横索式制動装置が再注目され、アメリカ海軍は油圧式横索装置を採用しました。これにより、より効率的で安全な着艦が可能になると期待されました。1927年にはフランス海軍の「ベアルン」がこの新しい技術を早期に取り入れ、日本海軍でもこれに倣った設計が行われました。

第二次大戦とその後

第二次世界大戦の間に、アメリカ海軍はさらに高度な制動索を開発しました。Mk.7制動装置がその一例で、これにより航空機の制動能力が飛躍的に向上しました。1940年代には、戦闘機の重量や速度が増加する中で、制動索の性能も重要な課題となり、アップデートが重ねられました。特に、エセックス級航空母艦では、最大で13.6トンの機体を制動することが可能となりました。

現代の制動索

1950年代には、アングルド・デッキ（斜め甲板）の導入により、制動索の数が減少しました。ニミッツ級航空母艦においては、最終的には3索型が導入され、今では最大繰出長105メートルの長さが確保されています。現代の航空機に合わせた設計が求められる中、制動索も進化を続けています。

まとめ

制動索は、航空母艦の運用に欠かせない重要な要素であり、これまでの歴史の中で多くの技術革新を経て現在に至っています。航空機の運用の安全性と効率を高めるために、この技術はますます重要な役割を担っています。

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