アレテューズ級潜水艦

アレテューズ級潜水艦：フランス海軍の対潜戦の要

アレテューズ級潜水艦は、フランス海軍が1950年代に建造した通常動力型潜水艦です。その任務は、沿岸部や海峡といった比較的狭い海域における対潜戦にありました。フランス海軍は、この艦級を「Sous-marins de Chasse」、つまり「狩猟潜水艦」と呼んでいました。

設計と能力:

アレテューズ級の設計思想は、小型で目立たず、高い静粛性を確保することにありました。これは、敵潜水艦の探知を回避し、静かに接近して攻撃を行うという、対潜戦において非常に重要な要素でした。第二次世界大戦中に活躍したドイツのUボート、特にXXIII型潜水艦のデザインが、その設計に影響を与えたと言われています。

その武装は、艦首に配置された4門の魚雷発射管でした。各発射管に4本の魚雷を搭載可能で、合計8本の短魚雷または機雷を携行していました。艦のサイズは比較的小さく、多目的運用には適していませんでしたが、対潜戦という特定の任務に特化した設計により、高い効率性を実現していました。

運用と歴史:

アレテューズ級潜水艦はすべて、フランスのシェルブール海軍工廠で建造されました。就役後は主に地中海を活動拠点とし、メルス・エル・ケビール基地、その後トゥーロン基地に配備されました。艦の運用期間の終盤には、乗組員の訓練艦としての役割も担い、フランス海軍潜水艦部隊の育成に貢献しました。

フランス潜水艦建造史における位置づけ:

アレテューズ級は、第二次世界大戦後のフランス海軍における潜水艦戦力の再建において重要な役割を果たしました。しかし、その高い専門性と比較的小さなサイズという設計上の制約から、建造数は多くありませんでした。その後、より大型で多目的に運用可能なダフネ級潜水艦（約800トン級）が登場し、フランス海軍だけでなく、パキスタン、ポルトガル、スペイン、南アフリカ海軍にも輸出されました。これは、フランス海軍の潜水艦建造技術の進歩と、国際的な需要の高まりを示すものです。アレテューズ級は、その後のより大型、多用途の潜水艦の登場によって役割を終えることとなりますが、フランス海軍の潜水艦部隊の近代化、そして対潜戦能力の向上に大きく貢献した艦級と言えるでしょう。

参考文献:

「特集・フランスの潜水艦」、『世界の艦船』No.455、海人社、1992年。

外部リンク:

"Les sous-marins de chasse du type Aréthuse". Net Marine. histoire. (2018年9月14日閲覧)

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