アレフ (コンピレーション・アルバム)

『א』（アレフ）

『א』（アレフ）は、1984年に日本のインディーズレーベル「覚醒工房」からリリースされた、日本のアンダーグラウンド音楽シーンを凝縮したコンピレーション・アルバムです。このアルバムは、1980年代半ばの日本のインディーズシーン、特に実験音楽、音響系、ノイズミュージックといったジャンルの先鋭的なアーティストたちの作品を、海外に向けて発信する目的で企画されました。

自主制作レーベルであった「覚醒派レコード」は、このアルバムの制作を機にレーベル名を「覚醒工房」へと改め、以降、数多くのコンピレーション・アルバムを発表し、日本のインディーズシーンの多様性と創造性を広く紹介する役割を担いました。

『א』の特筆すべき点は、音楽だけでなく、視覚的な要素にも力が注がれていることです。アルバムには、詳細なインフォメーションが記載された10ページの冊子と、参加アーティストや楽曲をイメージした38枚ものアートカードが同梱されており、聴覚と視覚の両面から作品世界を深く体験できるようになっています。

収録されているアーティストは、当時アンダーグラウンドシーンで注目を集めていた実力派ばかりです。Be-2（及川禅）、中座富士子、10394（島田英明）、K2（草深公秀）、ONNYK、GESO、SHimada、青木憲一、絶、NORM、中ザワヒデキ、ジゼル・オブ・ブルゾン・ノワール、ENSEMBLE TRAUMA、月本正、TETSUYA FUKUI、須山公美子、UNIT 4（福井哲哉ほか）、磯谷隆文、覚醒工房、Ché-Shizu、Sighing-P、アンニュイ（草深公秀ほか）、石川祐治、須川善行、倉本高弘、ONNYK＋TETSUYA FUKUI、吉松幸四郎、古館徹夫＋佐藤靖夫、A-OIRON、ももいろカバヤジュース（中ザワヒデキ+松前公高）、MIZUHO、鎌田忠 (DD.Records)、Merzbowといった、多岐にわたるジャンルのアーティストが参加しており、日本のインディーズシーンの多様性を象徴する内容となっています。

『א』は、単なる音楽作品にとどまらず、当時の日本のアンダーグラウンドカルチャーを記録した貴重な資料としての側面も持っています。実験精神に満ちたサウンド、アートワーク、そしてコンセプトは、後の日本の音楽シーンに大きな影響を与えました。日本のインディーズ音楽史を語る上で欠かせない作品と言えるでしょう。

参考文献
FOOL'S MATE

関連項目
覚醒工房
日本のパンク・ロック
アレフ（曖昧さ回避）

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