アロウズ・A23

アロウズA23：栄光と終焉を刻んだF1マシン

2002年シーズン、アロウズチームの戦いを支えたフォーミュラ1マシン、アロウズA23。マイク・コフラン設計によるこのマシンは、アロウズにとって最後のF1マシンとして歴史に名を刻むことになります。開幕戦から第12戦ドイツGPまで使用され、チームの撤退と共にその短い歴史に幕を閉じました。

革新的なデザインと苦闘のシーズン

A23は、それまでのアロウズマシンとは一線を画すデザインが特徴でした。従来のローノーズとは対照的に、2002年シーズンにおいて最も高いフロントノーズを採用。この高いノーズは、ノーズ下面のスペースを大きく確保することで、ディフューザーへの空気流入量を増やし、ダウンフォースの向上に貢献する設計となっていました。さらに、フロントサスペンションアーム支持部にはザウバーが開発したツインキールを採用。アロウズはこれを下方へ延長することで、整流版としての機能も付加した独自の工夫を凝らしていました。

エンジンは、それまでのアジアテック製からコスワースCR-3に変更。しかし、チームは深刻な資金難に陥っており、マシンの改良は思うように進みませんでした。開幕戦オーストラリアGPでは、2台ともピットスタートでの信号無視とスペアカーへの乗り換えによりダブル失格という痛恨のミスを犯します。その後、ハインツ＝ハラルド・フレンツェン選手がスペインGPとモナコGPで入賞を果たすものの、チームの状況は改善せず、資金不足のためフランスGPでは戦略的に予選落ちを選択するなど、厳しいシーズンを強いられました。そして、第12戦ドイツGPを最後に、アロウズはF1から撤退することとなったのです。

スペック詳細

アロウズA23のその後とスーパーアグリSA05

アロウズチームの倒産後、A23とその関連資産はポール・ストッダート氏によって競売で取得されました。ストッダート氏は、A23のシャシー、スペアパーツ、設計図面、さらにはチームのアーカイブ資料までを手に入れたのです。

これらの資産の一部は、その後スーパーアグリF1チームに売却されました。スーパーアグリは、A23をベースに2006年シーズンのマシン、SA05を開発。SA05は、佐藤琢磨選手らによって駆られました。SA05のモノコックはA23を改造したものであり、アロウズA23の技術がスーパーアグリの挑戦を支えたと言えるでしょう。A23は、チームの撤退という悲劇的な結末を迎えたものの、その技術は新たなチームへと受け継がれ、F1の歴史にその名を刻み続けたのです。

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