アングル (プロレス)

アングルについての詳解

アングル（英: Angle）とは、プロレスにおける特有の言葉で、試合の展開やリング外での抗争に関する事前に決定された脚本や計画のことを指します。この仕掛けは試合そのものの進行に関しては「ブック」と呼ばれ、主にリング外での物語展開を指す用語として使用されます。アングルの質は観客の興味を引き、動員数に直結するため、試合内容と同様に極めて重要な要素と言えます。

概要

アングルは、プロレス興行における物語の進行を形成し、これにより試合の注目度や観客の動員数に影響を与えます。プロレスイベントがよりスリリングで魅力的になるように、「ブッカー」や「マッチメーカー」、さらには「シナリオライター」と呼ばれる専門職の方々がこの脚本を作り上げています。
日本のプロレス団体ではレフェリーなどがこれを担うことが多く、WWE（ワールド・レスリング・エンターテインメント）では特にアングル専門の作家が担当しているのが特徴です。たとえば、日本では元新日本プロレスのミスター高橋が、海外ではポール・ヘイマン、ジム・コルネット、マイケル・ヘイズなどがその代表的な人物として知られています。

基本的にはマッチメーカーによって組まれるアングルですが、試合中に起こるアクシデントや選手のインタビューでの発言から新たなアングルが生まれることもあります。これを「ナチュラルアングル」と呼び、一例としてはハルク・ホーガンとビンス・マクマホン、エッジとマット・ハーディーとの抗争があります。これらはプライベートでの対立から発生することが多く、自然発生的なストーリーが展開されます。特に日本のプロレスにおいても、同様の流れが見受けられます。

アングルの内容は、テレビ放送や専門雑誌、団体の公式ウェブサイトなどを通じて告知されます。試合当日は、観客が試合に集中できるように事前にその物語の進行状況を示すためのVTRやマイクを通じて説明が行われることが一般的です。

アングルの展開

アングルは通常、時間をかけて展開、消化される一方で、観客の反応が薄かったり、トラブルが発生すれば、別のアングルに迅速にシフトすることもあります。特に団体が不安定な状態にある時には、アングルが乱発される傾向が見受けられます。これは観客への注意喚起や宣伝効果を狙ったものでもあります。

観客はアングルが用意された演出であることを知りつつも、楽しむ体験を求めるようになってきました。これにより、プロレスの楽しみ方も多様化し、よりエンターテイメント性が求められるようになりました。特にリアルファイトを求める総合格闘技の人気が高まるにつれて、プロレスもよりショーマンシップを意識するようになりました。

アングルの種類と例

アングルには多くのバリエーションがあり、以下のように分類されます：

• - 抗争アングル：選手間の対立を設定し、試合を連続的に展開させます。
• - 個人抗争：選手間の摩擦や争いを描き、しばしばチーム結成や軍団抗争に発展します。
• - 軍団抗争：団体内の複数のグループ間での闘争を描き、内紛や裏切りが起こることが常です。
• - 負傷アングル：故意に怪我をさせるわけではなく、持病を再発させたり偽の怪我を演じることで試合を演出します。
• - 世代闘争：新世代の選手が旧世代と抗争し、未来のスター選手が出現する流れを作ります。
• - 時事アングル：現在の社会情勢や話題を取り入れてストーリーに乗せることで注目を集めます。

これらのアングルはしばしば組み合わされて展開され、選手や団体のプロモーションにおいて重要な役割を果たします。

結論

アングルはプロレスの魅力を高め、観客の興味を強化するための重要なツールです。プロレスリングの「試合以外の」部分を担うこれらの仕掛けがなければ、興行全体の魅力が大きく損なわれることでしょう。観客の心をつかむために、常に新しく創造的なアングルが求められ続けています。

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