アンザーニ

アンザーニについて

アンザーニ（Anzani）は、イタリア出身のアレッサンドロ・アンザーニが1877年に設立したエンジンメーカーです。イタリアを拠点としながら、英国やフランスでも工場を持ち、航空機、自動車、船舶、オートバイ向けのエンジンを製造してきました。この会社は、特に無断コピーを禁止する工業所有権を活用し、多様なエンジンの設計と生産に力を注いでいます。

概要

アレッサンドロ・アンザーニは、イタリアで生まれた後、フランスに移住し、自転車レースに関与していきます。その後、オートバイに興味を持ち、軽量なエンジンの設計を始めました。1907年にはパリに小規模な工房を開設し、3人のスタッフを雇い、初めてエンジンの製造を開始します。また、アンザーニは水中翼船を設計し、そのためのエンジンとプロペラも製造しました。これにより、彼の名声は次第に高まりました。

航空用エンジンの開発

アンザーニはエンリコ・フォルラニーニにエンジンを供給し、3気筒の空冷エンジンを開発しました。このエンジンは、航空機の発展において重要な役割を果たし、特に25馬力の『アンザーニ W-3』という扇型エンジンが知られています。ルイ・ブレリオに供給されたこのエンジンを搭載したブレリオ XIは、1909年にドーバー海峡を横断することに成功しました。

各種エンジンの製造型式

アンザーニは様々なタイプのエンジンを開発しました。代表的なものには以下があります：

• - アンザーニ扇型 (W-3)：25 HP、35 HP、45 HPのバリエーション。
• - アンザーニY型：空冷星型3気筒。
• - アンザーニ4：水冷V型4気筒、35 HP/1,600 rpm。
• - アンザーニ6：二重星型6気筒、45 HP/1,300 rpm。
• - アンザーニ10：二重星型10気筒、100 HP。
• - アンザーニ20：四重星型20気筒、200 HP。

新工場の設立

エンジン生産が拡大する中で、パリの工房では手狭になったため、クールブヴォアに新しい工場を設立しました。さらに、ロンドンとイタリアのモンツァにも工場を設け、国際的な製造拠点を確立しました。

自動車レースへの転向

1920年には自動車レースに進出し、小型自動車の製造を開始しました。これらの自動車には、自社製の750ccの空冷2サイクルエンジンが搭載され、いくつかの競技で好成績を収めました。また、1923年から1924年には1098ccのサイクルカーも手がけました。

工場の売却

アンザーニは1927年の誕生日に、パリ郊外とロンドンの工場を売却することを決定しました。ただし、モンツァの工場だけは感情的な理由から手放さず、ナターレ・バッカンティにより管理されました。

ブリティッシュ・アンザーニの展開

英国では、ブリティッシュ・アンザーニというブランドを通じて、コベントリー・オーディナンス・ワークス社にエンジン製造を外注していました。1920年代にはブリティッシュ・バルパイン・エンジンカンパニーに再上場し、その後ブリティッシュ・アンザーニ・エンジニアリングカンパニーとして、小型エンジンの製造に特化しました。

さまざまな企業にエンジンを供給し、補記としてオートバイや航空機のエンジンも手がけました。また、第二次大戦後には、「アイアンホース」と呼ばれる人間が押して操作するエンジン付きのプラウを市場に投入し、注目を集めました。その後、会社名はブリティッシュ・アンザーニ・グループに変更され、1980年に清算されるまで活動を続けました。

現在の動向

2003年にはブリティッシュ・アンザーニの商標が再登録され、2006年にアンザーニ株式会社が設立されました。現在は、ビンテージ機のスペア部品を供給する企業として、英国コーンウォールのドルフィンエンジンを通じて活動を行っています。将来的には、自動車や船舶向けの製品の復活を計画しているようです。

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