アンジェイ・ズラウスキー

アンジェイ・ズラウスキー：ポーランドが生んだ異才の映画監督

アンジェイ・ズラウスキー（Andrzej Żuławski）は、1940年にポーランド（現ウクライナ領）で生まれた映画監督です。彼の作品は、強烈な映像表現とタブーに挑戦する姿勢で、映画史に独自の足跡を残しました。

生い立ちと初期の活動

ズラウスキーは、作家の息子として生まれ、幼少期から芸術に触れる機会に恵まれました。パリの高等映画学院で映画を学び、アンジェイ・ワイダ監督の助監督を務めるなど、映画界でのキャリアをスタートさせます。1960年代には、映画批評や詩作も発表し、多才な一面を見せました。

映画監督としてのデビューと苦難

1967年に短編映画で監督デビューを果たし、1971年には長編映画『夜の第三部分』を発表。この作品は、ポーランド国内で高い評価を受け、数々の賞を受賞しました。しかし、1972年に発表した『悪魔』は、その過激な内容から上映禁止処分を受け、ズラウスキーは苦境に立たされます。

フランスでの活動と国際的な評価

その後、ズラウスキーはフランスに拠点を移し、『L'important c'est d'aimer』（1975年）を製作。この作品は、ロミー・シュナイダーにセザール賞主演女優賞をもたらし、ズラウスキーの名を国際的に知らしめるきっかけとなりました。1981年には、『ポゼッション』がカンヌ国際映画祭に出品され、イザベル・アジャーニが女優賞を受賞。ズラウスキーは、世界的な映画監督としての地位を確立しました。

ソフィー・マルソーとの関係と作品

1985年の『狂気の愛』以降、ズラウスキーは女優ソフィー・マルソーを主演に迎えた作品を多く製作しました。二人は公私にわたるパートナーとなり、その関係は大きな注目を集めました。

晩年と遺産

2000年の『女写真家ソフィー』を最後に、ズラウスキーは長らく映画製作から遠ざかっていましたが、2015年に『Cosmos』を発表し、ロカルノ映画祭で監督賞を受賞。その健在ぶりを示しました。2016年、ズラウスキーは癌のためワルシャワで死去。75歳でした。

アンジェイ・ズラウスキーの作品は、その独特な映像美と過激な表現で、観る者に強烈な印象を与えます。彼の作品は、映画史における重要な遺産として、今後も語り継がれていくことでしょう。

主な作品

夜の第三部分 (1971)
悪魔 (1972)
ポゼッション (1981)
狂気の愛 (1985)
シルバー・グローブ/銀の惑星 (1988)
女写真家ソフィー (2000)
* Cosmos (2015)

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