アンスバッハ侯領

アンスバッハ侯領：フランケン地方の独立国家

アンスバッハ侯領は、神聖ローマ帝国のフランケン地方に位置した独立した領邦です。ホーエンツォレルン家傍系の分家が治め、ベルリンのブランデンブルク選帝侯家（後のプロイセン王国）と近しい関係を保ちながらも、1792年まで独自の政治体制を維持しました。その統治者の政治活動は、主にフランケン地方とその周辺地域に限定されていました。

歴史：ニュルンベルク城伯領から独立へ

アンスバッハ侯領の起源は、ニュルンベルク城伯領に遡ります。城伯領は「山の麓」(untergebirgisch)と「山の上」(obergebirgisch)の二つの地域に分けられており、ホーエンツォレルン家のフランケン地方における拠点でした。1415年（または1417年）、ニュルンベルク城伯フリードリヒ6世が世襲の辺境伯領を獲得、以降ホーエンツォレルン家は辺境伯の称号を使用するようになりました。

1427年、城伯の居城がニュルンベルク市に売却されたことにより、「ニュルンベルク城伯」は消滅し、フランケン地方の領地は辺境伯領として存続することになります。その後、この辺境伯領は二つの領邦に分裂していきました。

1486年、アルブレヒト・アヒレスの死後、1473年に公布された「アヒレス分割」(Dispositio Achillea)に基づき、フランケン地方の領地は二人の息子に分割されました。くじ引きによって、フリードリヒが「山の麓」地域、つまり後のアンスバッハ侯領を受け継ぎ、弟のジークムントが後のクルムバッハ侯領（1604年以降はバイロイト侯領）を受け継ぎました。

アンスバッハ侯領とクルムバッハ侯領は、歴史上幾度か同君連合を形成しましたが（1495-1515年、1557-1603年、1769-1791年）、神聖ローマ帝国の終焉まで、法的には独立した領邦であり続けました。しかし、1791年にバイロイト侯領と共にプロイセン王国に併合され、アンスバッハ＝バイロイトとしてカール・アウグスト・フォン・ハルデンベルクの管理下に置かれました。その後、フランス革命戦争におけるプロイセンの敗北に伴いフランスに割譲され、1810年にバイエルン王国領となりました。

ブランデンブルク＝アンスバッハ辺境伯：歴代領主

アンスバッハ侯領を治めた歴代辺境伯は以下の通りです。

フリードリヒ（1398-1440）：ニュルンベルク城伯フリードリヒ5世の息子。1412年からブランデンブルク辺境伯、1420年からクルムバッハ辺境伯を兼任。
アルブレヒト・アヒレス（1440-1486）：1457年からクルムバッハ辺境伯、1471年からブランデンブルク選帝侯を兼任。
フリードリヒ2世（1486-1515）
ゲオルク敬虔伯（1515-1543）：1527年からクルムバッハ侯領も統治。
ゲオルク・フリードリヒ（1543-1603）：1557年からクルムバッハ辺境伯、1578年からプロイセン摂政を兼任。
ヨアヒム・エルンスト（1603-1625）
フリードリヒ3世（1625-1634）
アルブレヒト（1634-1667）
ヨハン・フリードリヒ（1667-1686）
クリスティアン・アルブレヒト（1686-1692）
ゲオルク・フリードリヒ2世（1692-1703）
ヴィルヘルム・フリードリヒ（1703-1723）
カール・ヴィルヘルム・フリードリヒ（1723-1757）
カール・アレクサンダー（1757-1791）：1769年からブランデンブルク＝バイロイト辺境伯を兼任。

地理と行政：肥沃な土地と効率的な統治

アンスバッハ侯領は、集約農業に適した肥沃な土地を有しており、豊かな収穫をもたらしました。住民は農業から利益を得ていました。1541年のレーゲンスブルク分割条約でクルムバッハ侯領との国境が確定した後、領土は大きな変更なく維持されました。1741年には相続によりザイン＝アルテンキルヒェン伯領が併合され、領土が拡大しました。

18世紀半ばには、上級管理機構として15の管理区域（ザイン＝アルテンキルヒェン伯領を除く）が設置されました。これらは、ホーフカステンアムト・アンスバッハ、オーバーアムト・ブルクタン、オーバーアムト・カドルツブルクなど、様々な地域を管轄していました。これらの行政機構によって、アンスバッハ侯領は効率的に統治されていました。

結論

アンスバッハ侯領は、ホーエンツォレルン家の傍流が治めた、豊かで安定した領邦でした。肥沃な土地と確立された行政機構により繁栄しましたが、最終的にはプロイセン、そしてフランスを経てバイエルン王国に併合され、その歴史に幕を閉じました。その歴史は、神聖ローマ帝国における小領邦の盛衰を象徴するものです。

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