アンソニー・クルーズ

アンソニー・クルーズ：香港競馬史に名を刻んだ名手と名伯楽

アンソニー・クルーズは、香港ジョッキークラブに所属したポルトガル出身の調教師として知られています。1956年12月24日生まれ。輝かしい騎手時代を経て、調教師としても卓越した手腕を発揮し、香港競馬界に多大な貢献を果たしました。

騎手時代：ヨーロッパと香港、そして日本での活躍

1974年、香港ジョッキークラブ騎手養成所の第1期生として卒業。見習騎手としてデビューすると、類まれな才能を発揮し、香港で活躍。1980年代には活躍の舞台をヨーロッパへと広げ、数々の競走を制覇しました。その中でも、1986年のチャンピオンステークス優勝は、彼のキャリアにおける重要な転換点となりました。

この勝利をきっかけに、クルーズは1986年、トリプティクに騎乗して初来日を果たします。中央競馬初騎乗となったジャパンカップでは11着という結果に終わりましたが、同日に開催された神代特別にも騎乗、貴重な経験を積みました。翌1987年には再び来日し、富士ステークス（当時オープン競走）でトリプティクに騎乗、中央競馬初勝利を飾りました。その後も1992年のワールドスーパージョッキーズシリーズ出場など、日本の競馬界との繋がりを深めていきました。

香港での騎手生活では通算946勝という輝かしい成績を収め、1996年1月1日、最後の騎乗を勝利で飾って引退しました。日本の中央競馬では16戦1勝という成績を残しています。

調教師時代：リーディングトレーナーへの道と、管理馬の活躍

騎手引退後は調教師免許を取得し、1999年から2000年シーズンには57勝を挙げ、早くもリーディングトレーナーの座に就きました。

調教師転向後も日本との繋がりは続き、2002年には管理馬レッドサンをジャパンカップダートに出走させるため来日。管理馬の中央競馬初出走となりました。2004年から2005年シーズンには、香港ローカルを含むG1競走で7勝を挙げ、シーズン最多勝記録を更新する91勝を達成。2度目のリーディングトレーナーに輝きました。

調教師としてのクルーズの真価は、数々の名馬を育成し、勝利に導いたことにも表れています。サイレントウィットネスによるスプリンターズステークス制覇（2005年）は、彼の管理馬が中央競馬で初めて勝利を挙げた歴史的な瞬間でした。他にも、ラッキーオーナーズ、ブリッシュラック、ヘレンマスコット、カリフォルニアメモリー、パキスタンスター、エグザルタントなど、数々の名馬を手がけ、香港競馬界、ひいては世界競馬界に大きな足跡を残しました。

数々の栄光と、競馬界への貢献

アンソニー・クルーズは、香港リーディングジョッキーを6回、リーディングトレーナーを2回獲得。騎手、調教師として、香港競馬界に計り知れない貢献を果たしました。2002年にはエミレーツ・エアライン・レジェンドレースにも参加するなど、その存在感は絶大でした。

彼の卓越した騎乗技術と調教師としての指導力、そして国際的な視野は、多くの後進の育成にも繋がったことでしょう。香港競馬史に燦然と輝く、アンソニー・クルーズの功績は、これからも語り継がれていくことでしょう。

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