サイレントウィットネス

サイレントウィットネス：香港競馬史に輝く伝説の短距離馬

サイレントウィットネスは、1999年生まれの香港を代表する競走馬です。その名は、香港スプリントの連覇やデビューからの驚異的な17連勝という記録から、香港競馬史に燦然と輝く存在として広く知られています。オーストラリアで登録されたのち、香港のアンソニー・クルーズ厩舎に移籍。2002年秋に香港でデビューし、以後、数々の栄光を掴むことになります。

華々しいデビューから香港短距離三冠制覇へ

2003年、3歳（南半球産のため日本では2歳扱い）でデビュー戦を勝利で飾ると、続く条件戦を3連勝。さらに、沙田ヴァーズを制し、最優秀新馬に選出されるなど、その才能を早くから開花させました。
2003/2004年シーズンには、沙田スプリントトロフィー、キャセイパシフィック・ジョッキークラブスプリントと重賞を連勝し、香港スプリントへと駒を進めます。このレースには、当時世界最速馬と称されたナショナルカレンシーや、香港短距離三冠馬のグランドデライトなど強豪が揃っていましたが、サイレントウィットネスはゴール前でナショナルカレンシーを差し切り、見事優勝。世界中にその名を轟かせました。
続く香港短距離三冠では、ボーヒニアスプリントトロフィー、センテナリースプリントカップと圧勝し、最終戦のチェアマンズスプリントプライズでも勝利。香港短距離三冠を達成した史上3頭目の馬となり、10連勝という香港競馬の記録も更新しました。この活躍により、サイレントウィットネスは香港2003/2004年シーズンの年度代表馬、最優秀スプリンター、大衆ベスト人気馬の三冠を獲得しました。

17連勝の金字塔と社会現象

2004/2005年シーズンも、インターナショナルスプリントトライアル、香港スプリントを連勝し、香港スプリント連覇を達成。さらにボーヒニアスプリントトロフィー、センテナリースプリントカップ、チェアマンズスプリントプライズと快進撃を続け、香港短距離三冠を2連覇しました。そして、2005年4月、17戦目となるクイーンズシルヴァージュビリーカップで17連勝を達成。これは、グレード制導入後における世界記録でした（後にアメリカのゼニヤッタが並ぶ）。その人気は社会現象と化し、レース当日に配布された記念帽を求めるファンが殺到し、将棋倒し事故が発生するほどでした。

チャンピオンズマイル挑戦と海外遠征

17連勝を達成したサイレントウィットネスは、スプリント路線からマイル路線へと転向。アジアマイルチャレンジへの挑戦を表明し、初となる1400mのチャンピオンズマイルに出走しました。しかし、ペースの違いに苦しみ、同厩舎のブリッシュラックに僅かに差され、17連勝はストップしました。その後、安田記念にも出走し、3着と健闘しました。

スプリンターズステークス制覇と晩年

2005/2006年シーズンは、スプリンターズステークスで海外初G1制覇。しかし、その後体調を崩し、香港スプリントを回避。復帰戦となったセンテナリースプリントカップでは7着と惨敗しました。その後も精彩を欠くレースが続きましたが、チャンピオンズマイルでは2着に入るなど、復調の兆しを見せました。
2006/2007年シーズンは、スプリンターズステークスで4着。香港スプリントでも2着と敗れ、引退を決意。センテナリースプリントカップを最後に、多くのファンに見送られながら現役生活を終えました。

偉大な記録とレガシー

サイレントウィットネスの通算成績は29戦18勝、G1タイトル9勝、重賞14勝。獲得賞金は当時の香港レコードを樹立しました。その輝かしい戦績と、社会現象を巻き起こした人気は、今も香港競馬ファンの記憶に鮮やかに刻まれています。引退後はオーストラリアの功労馬のけい養施設で余生を過ごしています。サイレントウィットネスは、その類まれな才能と人気で、香港競馬史に不滅の足跡を残した偉大な競走馬でした。

もう一度検索