トリプティク

トリプティク (Triptych)

トリプティクは、アメリカ合衆国で生まれたサラブレッドで、1980年代に活躍した名牝の一頭です。彼女は、その抜群のパフォーマンスから「鉄の女」と称され、6か国で競技に挑戦し、グレード1競走で9勝という輝かしい戦績を残しました。彼女の生涯とキャリアを振り返ります。

戦歴

トリプティクは2歳時にマルセルブサック賞 (G1) を制覇し、初戦で素晴らしいスタートを切りました。その年、彼女は3戦し2勝を挙げています。3歳になると、彼女は4000メートル以上に及ぶ無理なレースローテーションを敢行しました。特に、アイリッシュ1000ギニートライアルとアイリッシュ2000ギニーでの連勝、そしてオークスでの2着は彼女の実力を証明する結果でしたが、その後は勝利から遠ざかる時期が続きました。

4歳時にはラクープ (G3) で久しぶりの勝利を得るものの、エクリプスステークスではダンシングブレーヴに敗れています。その後、ダンシングブレーヴと再び対決する際にも、残念ながら3着が続くことになりました。その中でも第65回凱旋門賞では、多くの強豪馬が揃っており、名誉ある競走といえます。そして、凱旋門賞の2週間後に行われたチャンピオンステークスでは、G1勝利を通算3回目に達成しました。

続いてアメリカでのブリーダーズカップ・クラシックに挑戦しますが、そのレースでは6着に終わりました。また、日本の第6回ジャパンカップにも出走し、11着という結果でした。

5歳では彼女の全盛期を迎えました。5月に始動したトリプティクは、ガネー賞、コロネーションカップ、インターナショナルステークス、そしてフェニックスチャンピオンステークスの4つのG1勝利を手にしました。また、キングジョージ6世&クイーンエリザベスダイヤモンドステークスや凱旋門賞でも3着に入賞しました。凱旋門賞後に行われたチャンピオンステークスでは再び優勝し、その実力を見せつけました。

次に目指したのはジャパンカップでした。来日後、出走した富士ステークスではそのパフォーマンスが圧巻で、途中後方からの競走にも関わらず、直線での爆発的な加速で他馬を圧倒し、最終的には2着に5馬身差をつけて勝利。これは当時の日本競馬においても異次元のレース振りと称賛されました。この成功を受けて第7回ジャパンカップでも1番人気に推されましたが、レース中に進路がふさがるアクシデントに見舞われ、持ち味を発揮できず4着で終わりました。

6歳時にはコロネーションカップで連覇を果たしましたが、その後は調子を落とし続け、最終レースのブリーダーズカップ・ターフでは4着であり、これをもって彼女は現役を引退しました。

引退後

トリプティクは引退後、繁殖牝馬として新たな道を歩み始めました。初年度は名馬ミスタープロスペクターと種付けしましたが、残念ながら1989年5月24日に発生した事故で急死しました。放牧中にトラックに衝突し、頭蓋骨骨折と出血多量により彼女は非業の死を遂げます。トラックのライトに驚いたことが原因とされています。彼女は生涯を通じて1頭の産駒も残すことができず、その象徴的な存在は競馬界に大きな影響を与えました。

血統

トリプティクの父はRivermanで、彼はフランス2000ギニーやイスパーン賞を制し、5勝を挙げた名馬です。母のTrillionはガネー賞を勝ち、フランスとアメリカで9勝を挙げた強豪で、アメリカ芝チャンピオンやフランス古馬チャンピオンに輝いた名牝です。また、彼女の半妹Doff the Derbyの産駒には、ジェネラス（英愛ダービー等G1を4勝）やImagine（オークスと愛1000ギニーの勝馬）など、優れた競走馬がいます。トリプティクの影響力は、日本にも及び、地方競馬でGI・JpnI最多勝利を挙げたフリオーソや、ジェネラスの半弟オースミタイクーンなど、数多くの活躍馬が登場しています。

トリプティクの栄光と悲劇の物語は、競馬界に刻まれた伝説として語り継がれています。

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