アンソニー・ワイルディング

アンソニー・フレデリック・ワイルディング

アンソニー・フレデリック・ワイルディング（1883年10月31日 - 1915年5月9日）は、ニュージーランドのクライストチャーチ出身の著名なテニス選手です。彼はテニス界の歴史に名を刻む偉大な業績を残し、特に1906年と1909年に全豪選手権での優勝、さらには1910年から1913年にかけてウィンブルドン選手権での男子シングルスの4連覇が特に有名です。彼はまた、愛称の「トニー・ワイルディング」としても知られ、テニスの記録や文献に名前が残され続けています。

来歴とテニスキャリア

全豪選手権は1905年に始まり、最初の優勝者はロドニー・ヒースでした。ワイルディングは、1906年の第2回大会でシングルスとダブルスの両部門において優勝を果たしました。この年のシングルス決勝で彼はフランシス・フィッシャーを6-0, 6-4, 6-4と圧倒し、ダブルスではロドニー・ヒースとのペアで栄冠を手にしました。続く1909年の第5回大会では男子シングルスの決勝でアーニー・パーカーを破り、再び優勝をしたのです。

1910年から1913年にはウィンブルドン選手権での男子シングルスにおいて4連覇を成し遂げました。この大会の競技方式は現在とは異なり、チャレンジ・ラウンドで前年の優勝者を除く選手たちがトーナメントで戦い、その勝者が前年のチャンピオンと対戦する「オールカマーズ・ファイナル」形式でした。1910年の初出場で彼はアーサー・ゴアを相手に勝利し、初優勝を飾ります。1911年以降、彼は大会の前年優勝者として待つ立場となり、さらなる連覇を果たしましたが、1914年にはノーマン・ブルックスに敗れ、5連覇を逃しました。それでも彼の記録は依然として輝かしいものです。

さらに、デビスカップにも参加し、オーストララシア代表として1905年から活躍。彼は4回のデ杯制覇に貢献し、その才能を存分に発揮しました。これらの業績から、彼は一流の選手として広く認識されています。

戦争と早逝

悲しいことに、ワイルディングのテニスキャリアは第一次世界大戦の勃発によって終止符を打たれます。1914年、戦争が始まると彼とブルックスはイギリス軍に徴兵され、ワイルディングは1915年5月9日にフランスで戦死しました。わずか31歳という若さでの奔放な人生を送り、テニス界から去ることとなりました。

彼の遺産

ワイルディングは、著書「On the Court and Off」を残しており、テニスに関する貴重な視点を提供しています。この本は、日本のテニス界が新たな方向性を模索していた1913年に、留学生として英国にいた小泉信三によって日本に紹介されました。彼の業績や書籍は、テニスの発展に寄与する重要な参考文献として評価されているのです。彼の人生と業績は、テニスだけでなく、彼を知るすべての人々にとっても永遠の記憶として語り継がれるべきものです。

結論

今もなお、アンソニー・ワイルディングの名はテニスの歴史に刻まれています。彼の技術やスポーツマンシップは、現代の選手たちにも影響を与えており、その遺産は今後も続いていくでしょう。

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