ノーマン・ブルックス

サー・ノーマン・エベラード・ブルックスの軌跡

サー・ノーマン・エベラード・ブルックス（1877年11月14日 - 1968年9月28日）は、オーストラリア・メルボルン出身の偉大な男子テニス選手であり、20世紀初頭に活躍した。彼は特にウィンブルドン選手権において、1907年にイギリス人以外の選手として初めて優勝を果たし、その名を歴史に刻んだ。左利きの彼は、その独特なプレースタイルから「魔術師」と称されることが多かった。

## テニスキャリアの始まり

ウィンブルドン選手権では、第1回大会から1904年にかけて男子シングルス決勝はすべてイギリス人選手によって占められていた。しかし、1905年にブルックスが初めてイギリス人以外の選手としてチャレンジ・ラウンドを制し、前年優勝者であるローレンス・ドハティーに挑むこととなる。初めての決勝戦では敗北を喫し、優勝の夢は実現しなかった。

## ウィンブルドン初勝利とその後

続く1907年、ブルックスはついにウィンブルドン選手権の決勝でアーサー・ゴアを破り、同選手権において初のイギリス人以外の優勝者として名を刻んだ。この成功がきっかけで、ウィンブルドン選手権は国際化の道を歩み始める。1910年から1913年にかけて、アンソニー・ワイルディングがウィンブルドン4連覇を達成し、その後の1914年には再びブルックスがチャレンジ・ラウンドを勝ち上がり、ワイルディングの5連覇を阻止して自身二度目の優勝を果たす。

## 第一次世界大戦とその影響

しかし、その後すぐに第一次世界大戦が勃発し、ブルックスも戦場に赴くこととなる。彼はイギリス軍で大尉を務めたが、同じくテニス選手であったワイルディングは戦死してしまった。戦後の1919年、ブルックスは再びウィンブルドンの舞台に立ったが、その時にはすでに42歳。若きジェラルド・パターソンに敗北し、再度の優勝はならなかった。

## デビスカップでの功績

ブルックスはまた、デビスカップのオーストラレーシア代表としても長年にわたり活躍した。彼は1905年から1920年までプレーし、デビスカップでの連勝に貢献した。1910年に開催された大会は中断されたが、ブルックスは1914年と1919年の大会で優勝を経験。1919年には同国のパターソンと共にアメリカを相手に決勝へ臨み、ブルックスは当時屈指の選手であるビル・チルデンを破る快挙を成し遂げた。これが彼のデビスカップでの最後の出場となった。

## 現役引退後の功績

テニス選手引退後、ブルックスは1926年にオーストラリア・ローンテニス協会の会長に就任し、1955年までその職務を全うした。1939年にはその功績によりイギリスから「サー」の称号を授与されるなど、テニス界の発展に寄与してきた。1968年9月、彼は故郷のメルボルンで90歳でその人生を終え、1977年には国際テニス殿堂入りも果たした。特に全豪オープンの男子シングルス優勝者には、彼の名を冠した「ノーマン・ブルックス・チャレンジ・カップ」が贈られている。

ブルックスのテニススタイルは多彩で、彼のサービスやボレー技術は当時としては非常に印象的なものであった。その独特なプレースタイルは彼を真のテニスのアーティストとし、今尚多くのファンに支持され続けている。

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