アンタッチャブル (テレビドラマ)

アンタッチャブル（The Untouchables）

『アンタッチャブル』は、アメリカ合衆国のテレビドラマとして、1959年から1963年まで放送されました。全116回と2回のパイロット版を含むこの作品は、モノクロで制作され、日本でも人気を博しました。

概要

このドラマは1930年代の禁酒法時代のアメリカを背景に、FBIの特別捜査班であるエリオット・ネスらが、シカゴやニューヨークにおけるギャングや犯罪者と戦う姿を描いています。原作はエリオット・ネス自身の自伝に基づいており、彼は司法省の酒類取締局の特別捜査官として、特にアル・カポネの逮捕に寄与したことが知られています。監修のもと、UPI通信のライター、オスカー・フレイリーがネスからのインタビューと資料をもとにこの自伝を執筆しました。残念ながら、ネスはこの自伝の出版直前に知らぬ間に亡くなり、その成功を味わうことはありませんでした。

放送開始に先立ち、ABCテレビは特別に初回のストーリーを前後編で放送しました。このエピソードは日本では『どてっ腹に穴をあけろ』として公開され、好評を受けてシリーズ化が決定しました。シリーズの中ではFBI特別捜査班のリーダーとしてのネスの姿が描かれ、彼が実在の悪党たち、すなわちラッキー・ルチアーノ、ダッチ・シュルツらと対決する様子まで描かれました。番組内ではナレーションをコラムニストのニコラス・ウィッチェルが担当し、ドキュメンタリーのような緊迫感を醸し出しました。

視聴率と影響

『アンタッチャブル』は全米で高視聴率を記録し、1960年にはロバート・スタックがエリオット・ネス役でエミー賞を受賞する等、さまざまな評価を受けました。アメリカでは犯罪ドラマの先駆けとしての地位を確立し、特に一般視聴者には実在の犯罪者に立ち向かう捜査官の姿が強い印象を与えました。日本においてもこの作品は大ヒットし、同名のドラマが後に制作されるなど大きな影響を与えました。

文化への影響

『アンタッチャブル』は日本の刑事ドラマにおける名作にも影響を与えています。『特別機動捜査隊』などの作品は、明らかにこのドラマを意識した内容で、時代劇『大江戸捜査網』の初期シリーズも『アンタッチャブル』を意識して作られたと言及されています。

社会的な反響

一方で、番組はイタリア系アメリカ人に対して一定の反感を抱かれました。放送当時、イタリア系アメリカ人のグループがデモを行ったり、企業の製品が不買運動の対象にされるなどの出来事も起こりました。特にカポネの未亡人と息子が名誉棄損で訴訟を起こすなど、社会問題を引き起こしました。ドラマの内容が暴力を助長するとの批判も受け、その後のエピソードでは銃撃戦のクライマックスを控えるなど、路線変更が図られました。

後の展開

1987年にはリメイク映画が制作され、1993年には新たなテレビドラマシリーズ『新・アンタッチャブル』も放送されました。

このように『アンタッチャブル』は単なるエンターテインメントに留まらず、視聴者に影響を与える社会的な要素や文化的な議論を生む作品として、今なおその価値を持ち続けています。

もう一度検索