アンダー・ラグ・ロッキング

『アンダー・ラグ・ロッキング』は、作家・名瀬樹氏が手掛けた日本のライトノベル作品です。イラストはかずといずみ氏が担当しています。メディアワークスより電撃文庫レーベルで2003年6月に出版されました。本作は、応募時のタイトル『雪の彼方へ』として、第二回電撃hp短編小説賞を受賞しています。

物語の概要

物語の舞台は、親たちの故郷である七北市が秩序騎士軍の手に落ちた世界です。七北市を奪還するために組織された七北奪還軍の兵士訓練センターで、主人公である名瀬雪生と佐矢都春は出会います。彼らは特に狙撃において exceptional な才能を持っていましたが、その能力ゆえに訓練センター内でいじめの対象となっていました。春は、この境遇に対する復讐を決意し、雪生を誘って計画を実行に移します。

復讐の実行後、雪生と春はそれぞれ別の場所で訓練を積むことになりますが、後に遠距離攻撃を専門とする第十一飛行船砲隊に共に配属され、運命的な再会を果たします。故郷奪還という大きな目的の下、特殊な部隊で彼らの新たな戦いが始まります。

主な登場人物

名瀬雪生（なせゆきお）
七北奪還軍に徴兵された少年。適性検査で高い狙撃の才能を示し、訓練センターでその能力ゆえにいじめを受けますが、春との出会いを経て復讐を実行します。訓練センターを出た後は、白髪の老人から狙撃の指導を受け、第十一飛行船砲隊で春と再会します。

佐矢都春（さやとはる）
雪生と同様、適性検査で七北奪還軍に徴兵され、狙撃において並外れた才能を持つ少女です。訓練センターでのいじめに対し、雪生と共に復讐を行います。訓練センター脱退後は、雪生とは別の女性から狙撃の訓練を受け、後に第十一飛行船砲隊で雪生と再会を果たします。

里見森夜（さとみもりや）
19歳という若さで第十一飛行船砲隊の指揮官を務める人物です。雪生と同室になります。

佐川明（さがわあきら）
第十一飛行船砲隊の作戦監督官です。

内田月子（うちだつきこ）
19歳の観測士官。黒髪黒瞳で背が高く、クールな印象の美人です。春とは親しい間柄です。

松本大輔（まつもとだいすけ）
第十一飛行船砲の乗組員。脱走を図り人質をとるも、射殺されてしまいます。

青山恭子（あおやまきょうこ）
17歳の小柄な狙撃兵です。

山田良和（やまだよしかず）
背が高く、細身の少年です。

高橋郁美（たかはしいくみ）
第六飛行船砲隊の通信士。所属部隊で唯一の生存者となりますが、後に死亡します。

細野（ほその）
第十一飛行船砲隊の医務官です。

作品世界を読み解く用語

七北市（ななきたし）
四都市平和同盟に加盟する都市の一つでしたが、秩序騎士軍による侵攻を受けました。多くの市民は他都市へ避難し、故郷奪還を目指す軍を結成しました。

七北奪還軍（ななきただっかいぐん）
七北市出身者やその家族によって編成された軍事組織で、目的は秩序騎士軍から七北市を取り戻すことです。旧七北市民の子供は10歳になると適性検査を受け、合格すると兵士となるための訓練が義務付けられます。20歳に達すると、一時的に帰宅が許されます。

四都市平和同盟（よんとしへいわどうめい）
河南市や七北市、青葉市などが加盟する同盟。秩序騎士軍に対抗するため、七北奪還軍への資金援助を行っています。

北原線路都市（きたはらせんろとし）
七北奪還軍の主要な基地として発展した都市です。

特別クローン許可法（とくべつクローンきょかほう）
子供が徴兵された場合に、その代替としてクローンを作成することを特別に認める法律です。

秩序騎士軍（ちつじょきしぐん）
西陸統合国に属する軍隊です。

騎士（きし）
秩序騎士軍の特殊な兵士を指します。手術によって自我が排除され、恐怖心を感じなくさせられています。罪人や志願者がこれとなり、騎士団長と呼ばれる人物によって統率・操作されます。

第十一飛行船砲隊（だいじゅういちひこうせんほうたい）
雪生と春が再会し、配属される部隊です。遠距離からの攻撃を専門としています。

飛行船砲（ひこうせんほう）
第十一飛行船砲隊が使用する特殊兵器です。全長約83メートル、全身を装甲で覆った特殊な飛行船に、4門の特殊反動吸収砲が搭載されています。

既刊情報

アンダー・ラグ・ロッキング
著者：名瀬樹 / イラスト：かずといずみ
出版社：メディアワークス（電撃文庫）
発売日：2003年6月10日
ISBN：4-8402-2390-4

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