アンティオキア地震 (115年)

115年のアンティオキア地震

西暦115年12月13日の早朝、ローマ帝国領であったアンティオキア（現在のトルコ南部、アンタキヤ付近）で、マグニチュード（M）7.5という大規模な地震が発生しました。この地震は、歴史上でも稀に見る深刻な災害として記録されています。

甚大な被害

地震の被害は壊滅的で、死者数は26万人に達しました。これは、当時の世界における地震災害としては、突出して甚大なものでした。115年の執政官であったマルクス・ペド・ウィルギリアヌスもこの地震で命を落としています。

地震の揺れは非常に激しく、数日間、昼夜を問わず断続的に続いたと伝えられています。このため、多くの建物が次々と倒壊し、都市機能は麻痺しました。さらに、地震後に発生した津波も被害を拡大させ、沿岸部の地域に大きな損害をもたらしました。当時の皇帝であったトラヤヌスも地震によって負傷し、余震が続く中で、円形闘技場に避難せざるを得ない状況でした。この事実は、地震の規模と被害の甚大さを物語っています。

アンティオキアは、この地震の約400年後の西暦526年にも大規模な地震に見舞われており、古代において、稀に見る大震災が2度も発生した都市として、歴史にその名を刻んでいます。この2つの大地震は、アンティオキアという都市が、地震災害に対して非常に脆弱であったことを示唆していると言えるでしょう。

地震の影響

115年のアンティオキア地震は、単に物理的な被害だけでなく、当時の社会や文化にも大きな影響を与えました。ローマ帝国の支配下にあったアンティオキアは、帝国内でも重要な都市の一つでしたが、この地震によってその繁栄は一時的に停滞しました。また、この災害を契機に、ローマ帝国における防災対策や都市計画の重要性が認識されるようになったと考えられます。

この地震は、古代における自然災害の恐ろしさを改めて示す出来事であり、現代においても、地震に対する備えの重要性を教えてくれます。また、アンティオキアのように、過去に大地震を経験した地域では、将来の災害に備えて、より一層の警戒が必要であると言えるでしょう。

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