アンティゴノス (ハスモン朝)

アンティゴノス II マッタティアス

アンティゴノス II マッタティアス（紀元前40年 - 紀元前37年）は、ハスモン朝の最後の王であり、大祭司でもありました。彼は古代イスラエルの支配者として、数々の権力闘争と政治的陰謀の中で生き抜き、その生涯は波乱に満ちています。

即位前の背景

アンティゴノスは、父であるアリストブロス2世の元で育ちましたが、紀元前63年に父がヨハネ・ヒルカノス2世との権力争いで敗北し、ローマの将軍ポンペイウスによって退位させられたため、運命が大きく変わります。アンティゴノスは父や姉妹とともにローマに連行され、そこでの生活を余儀なくされました。彼と姉妹たちは一時的に自由になる機会を得るも、反乱は失敗に終わりました。この混乱の中で、彼の兄アレクサンドロスはローマとヒルカノスへの反発を続けましたが、最終的には敗北したのです。

パルティアとの同盟と王位奪取

紀元前40年、アンティゴノスはパルティアと同盟を結び、王位の奪取を目指しました。彼の呼びかけに応じたパルティアの指導者たちがシリアに進撃し、アンティゴノスは再び権力を握るチャンスを得ました。しかし、彼の計画は順調には進まず、アンティパトロスの息子ヘロデによる抵抗がありました。エルサレムの戦いの中で、アンティゴノスはふたたび王位に就きますが、その過程で多くの人命が失われました。ヒルカノスは彼の命令によって両耳を切り落とされ、これにより大祭司の地位には戻れなくなりました。

死とハスモン朝の終焉

紀元前37年、ヘロデがマルクス・アントニウスの援助を受けてユダヤの王に指名され、軍を率いてエルサレムに迫りました。激しい戦闘が繰り広げられる中、ヘロデはついにエルサレムを攻略し、アンティゴノスはソッシオスに降伏します。降伏後、彼は助命を願いましたが、ソッシオスの侮辱の後、捕縛されアンティオキアに送られ、最終的に斬首されました。これにより、ハスモン朝はその歴史に幕を下ろし、ヘロデによる新たな王朝が誕生することとなったのです。

アンティゴノスの生涯は、古代イスラエルの王権とその運命の激動を象徴するものです。彼の物語は、権力争いや家族の悲劇、自由を求める闘争の痕跡を残し、その後の歴史に深い影響を与えました。

もう一度検索