アンテロープ (フリゲート)

アンテロープ（F170 Antelope）

アンテロープは、イギリス海軍の21型フリゲート艦で、特にフォークランド戦争における役割で知られています。この艦はイギリスのヴォスパー・ソーニクロフト社により、1971年に建造され、1975年に就役しました。いざ戦争が勃発した際には、近代化改装が施される前の状態であり、結果としてエグゾセ対艦ミサイルを装備していない唯一の21型フリゲートとなりました。

設計と艦歴

1971年3月23日に起工され、1972年3月16日に進水したアンテロープは、アメリカ海軍と共に海洋戦力の一環としての任務を持ちました。1977年にはエリザベス2世の戴冠25周年を祝う観艦式に、第7フリゲート戦隊の一員として参加しました。

アンテロープは1982年5月、フォークランド紛争の作戦地域に到着しました。初日から、彼女はサンカルロス湾の入口で防空任務を担い、重要なフロントラインとして位置しました。そこで、アルゼンチン空軍のA-4Bスカイホークの攻撃を受けることになります。

フォークランド紛争での戦闘

1982年5月23日、アンテロープは4機のスカイホークによる攻撃を受けました。最初に接近した二機は、艦から発射されたシーキャットSAMによって撃退され、1機のパイロットはダメージを受けた機体をリオ・ガジェゴスに帰還させました。残りのスカイホークは右舷から襲撃をかけ、Luciano Guadagnini中尉が操縦する機体は、艦のレーダーマストに衝突しました。奇跡的にも、直接の被害は免れたものの、不発弾が艦に着弾し、乗組員に甚大な影響を及ぼしました。艦の乗員スチュワートが一名死亡するという痛ましい結果となりました。

その後の攻撃では、たとえさらにシーキャットSAMを発射したとしても、状況は改善されませんでした。初期の損傷対応を行いながら、より安全な海域へ退避しましたが、艦内には不発弾が残っており、爆弾処理班が派遣されました。しかし、処理作業中に爆発が起こり、1名の爆弾処理係が命を落とし、別の者が重傷を負う運命に。アンテロープは爆発によって急速に火災が広がり、最終的には艦長の指示で全員が退艦しなければなりませんでした。

安定した状況を失った艦は、ミサイル弾薬庫の爆発が続き、その後沈没しました。艦が沈む映像や写真は、フォークランド紛争の象徴とも言える存在となり、戦争の悲劇を物語っています。事故が起きた翌日、艦は半分に折れて海の底へ沈んでいきました。

現在の状況

2002年には、沈没したアンテロープの海軍旗が別の艦によって海底から引き上げられました。そして、アンテロープの残骸はフォークランド諸島の沈没船に関する法律で保護され、訪問が禁止されています。これは、艦の記憶とともに、犠牲者への敬意を払うための重要な配慮であると言えるでしょう。彼女の歴史は、戦争の現実と海軍の厳しさを象徴しているのです。

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