21型フリゲート

21型フリゲート：アマゾン級からタリク級へ

21型フリゲートは、イギリス海軍で「アマゾン級」とも呼ばれたフリゲート艦級です。1970年代から1990年代にかけて運用され、その後、全艦がパキスタン海軍に売却され、「タリク級駆逐艦」として新たな道を歩みました。本級は、その独特な設計思想と運用史から、多くの注目を集めています。

開発の背景

21型フリゲートの起源は、1960年代初頭のイギリス海軍における護衛艦の構成に関する議論に遡ります。当初、大型駆逐艦と、対潜ミサイル装備のフリゲート、小型コルベットの組み合わせが検討されましたが、最終的には、大型駆逐艦と並行して、安価で量産可能なフリゲートが求められるようになりました。これが19型フリゲートの構想であり、本級の原型となりました。

1965年、19型フリゲートの設計案が作戦要求委員会に提示されました。当初は1,900トン級で、ガスタービンエンジンとディーゼルエンジンの組み合わせにより高速を発揮する計画でしたが、まもなく、この計画は楽観的すぎることが判明しました。排水量は2,600トンに増大し、建造費も上方修正されたため、計画の見直しが行われました。

FFWPの検討とヴォスパー社の提案

1966年、イギリス海軍は航空母艦計画の中止を決定し、艦隊整備計画を抜本的に見直す必要に迫られました。そこで、将来艦隊計画作業部会（FFWP）が設置され、新たな兵力整備コンセプトが検討されました。その結果、大型駆逐艦の代わりに小型ミサイル駆逐艦が建造されるとともに、艦隊の基幹兵力として汎用フリゲートの建造が提言されました。

一方、ヴォスパー社は積極的に輸出用の軍艦を設計しており、その設計案はFFWPの要求に比較的近いものでした。当時、イギリス政府は軍艦の輸出を切望しており、海軍がヴォスパー社の設計を採用すれば、他の国も追随する可能性がありました。そのため、DGS独自の設計が完成するまでの暫定策として、ヴォスパー社の設計を基に、イギリス海軍の要求を加味した発展型を建造することになりました。これが21型フリゲートです。

英豪共同開発の試み

当時、オーストラリア海軍も汎用フリゲートの計画を進めており、FFWPの構想するフリゲートと要求事項が近かったことから、共同開発が検討されました。しかし、両国の要求事項には多くの相違点がありました。イギリス海軍は取得性を重視していましたが、オーストラリア海軍は高速性能やアメリカ製品の採用を重視しました。これらの相違が顕在化した結果、オーストラリアは計画から脱退し、イギリスは独自に計画を進めることとなりました。

設計の特徴

21型フリゲートは、中央船楼型を採用し、上部構造物にアルミニウム合金を使用しました。これにより、重心降下を図りましたが、一方で抗堪性の低下を招いたとの批判も受けました。推進機関は、西側諸国で初めてガスタービンエンジンのみを搭載した戦闘艦として知られています。巡航用と高速用に異なるガスタービンエンジンを使用するCOGOG方式を採用し、後の22型フリゲートや42型駆逐艦にも踏襲されました。

居住性については、士官居住区は好評でしたが、科員居住区はそれほど良くありませんでした。また、将来発展の余地が乏しいという問題点も指摘されました。

搭載兵装

21型フリゲートは、C4ISRシステムとして、CAAIS DBA (2)戦術情報処理装置を搭載しました。対空・対水上捜索用には992型レーダー、ソナーには184M型を搭載しました。また、電子戦支援用としては、当初はFH5短波方向探知機のみを搭載していましたが、後にUAA-1電波探知装置を搭載しました。

個艦防空ミサイルとしては、シーキャットGWS.24を搭載しましたが、本来はシーウルフGWS.25の搭載が予定されていました。対艦兵器としては、当初は艦砲のみでしたが、後にエグゾセMM38艦対艦ミサイルが搭載されました。対潜兵器としては、中距離魚雷投射ヘリコプター（MATCH）に重きをおいており、リンクスHAS.2/3が運用されました。

パキスタン海軍での運用

イギリス海軍での運用終了後、全艦がパキスタン海軍に売却され、タリク級駆逐艦として運用されています。パキスタン海軍では、近接防空能力向上のためファランクス20mmCIWSを搭載したほか、電子光学式のナジールMk.2を搭載しました。また、短魚雷発射管をスウェーデン製のTp.43に適応したものに変更しました。ミサイル兵装も変更され、LY-60N艦対空ミサイルやハープーン艦対艦ミサイルが搭載されました。これらの装備によって、タリク級は防空型と対水上型の2つに分けられています。

結論

21型フリゲートは、その開発経緯から装備、そしてパキスタン海軍での運用まで、多くの変遷を辿った艦級です。その独特な設計思想と、各国の要求に合わせた改造は、軍艦の歴史において重要な事例として位置づけられます。本級は、イギリス海軍の歴史と、パキスタン海軍の近代化に大きく貢献したと言えるでしょう。

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