アントニオ・デ・メンドーサ

アントニオ・デ・メンドーサ・イ・パチェコの生涯

アントニオ・デ・メンドーサ・イ・パチェコ（1490年 - 1552年7月21日）は、初代ヌエバ・エスパーニャ副王（1535年 - 1550年）および第2代ペルー副王（1551年 - 1552年）を歴任した歴史的な人物です。彼はスペインのグアダラハラ県モンデハルに生まれ、メンドーサ家は貴族の名家として知られています。彼の曾祖父はルネサンスの詩人、初代サンティジャーナ侯爵イニゴ・ロペス・デ・メンドーサであり、家族は教育や文化に貢献してきました。

初期の経歴と政治的活動

メンドーサは1515年に父親を亡くし、1500年代初頭にカルロス皇帝（後の神聖ローマ皇帝カール5世）との関係を築きました。彼は1526年からカルロス王と面識を持ち、外交使節としてヨーロッパ各地を訪問するようになります。その後、1528年にはレオン州の総督に任命され、政治的経験を積み重ねました。

ヌエバ・エスパーニャ副王としての業績

ヌエバ・エスパーニャ副王に任命されたのは1535年ですが、任命は長い間待たれていました。彼はその年の11月にメキシコシティに到着し、多くの副王たちと対立しながら治世を進めます。彼の治世において重要な課題は探検と開拓でした。例えば、彼は1539年にフランシスコ・バスケス・デ・コロナドを北西部の探検に派遣したり、フアン・ロドリゲス・カブリリョをアニアン海峡の探求に送ったりしました。これにより、西洋で初めてカリフォルニア州に到達した人物となりました。

また、彼は教育や社会基盤の改善にも力を入れ、「コレヒオ・デ・サンタクルス」や「メキシコ大学の前身」となる教育機関を設立し、先住民の教育に貢献しました。さらに農業の振興を目指し、都市の建設や病院の設立も行いました。

抵抗と内乱

一方で、メンドーサの治世下で先住民からの抵抗も多くありました。ユカタン半島では激しい反発があり、1542年にはティホの設立につながる平定が進められました。また、1540年にはミシュトン戦争が勃発し、彼は直接軍を率いて反乱を鎮圧します。その後、バルトロメ・デ・ラス・カサスによる新法が施行される際には、一時的に新法の施行を差し止める決定を下し、エンコメンデロの権利を守りました。

メンドーサ絵文書の編纂

1540年代、メンドーサはアステカ文明を詳述するための書物の編纂を依頼しました。「メンドーサ絵文書」として知られるその書物は、アステカの歴史や社会構造を記録しており、メシカの皇帝による征服の歴史、アステカへの貢納品、日常生活について詳しく説明されています。これは植民地化以前の伝統的な絵文書とは異なり、新しい視点を提示しています。

ペルー副王としての最期

ペルーでは内乱が続いていたため、1549年にメンドーサはペルー副王に任命されると、そこに到着。しかし、健康上の問題により1552年に没してしまいます。彼の死後、ペルーの安定はさらに後の副王たちによってもたらされることとなります。

メンドーサの生涯は、当時の新世界における植民政策や文化交流の重要な側面を示しており、彼の業績は現代にも影響を与えています。

もう一度検索