アントニオ・パニッツィ

アントニオ・パニッツィの生涯と業績

アントニオ・ジェネージオ・マリア・パニッツィ（1797年9月16日 - 1879年4月9日）は、大英博物館図書館の著名な司書および第6代館長として知られる人物です。イタリアのモデナ公国に生まれた彼は、若いころから法律を学び弁護士としての道を歩んでいました。しかし、彼の政治的信念はリベラルであり、革命的な思想を持っていたため、初期のキャリアは波乱に満ちていました。

故郷では反逆罪を宣告され、その結果、パニッツィは1823年にイギリスに亡命します。イギリスに到着した当初は英語を話すことができませんでしたが、イタリア語を教えることで生計を立てる一方、ルネサンスの歴史についての講義を行っていました。やがて英語を習得し、ロンドン大学で教職を得るものの、彼が講じたイタリア史の人気が薄く、困窮する日々が続きました。これを契機に、1831年に大英博物館図書館に司書補として就任しました。

大英博物館図書館での業績

パニッツィのキャリアはここから飛躍的に発展します。大英博物館図書館では、蔵書の目録編成に取り組み、新たな目録規則の必要性を感じ始めました。彼の業績は次第に評価され、1837年には刊本部長、1856年には主任司書、さらに大英博物館館長に就任しました。1866年まで館長を務め、その間に1857年には現在の大英博物館の象徴である円形閲覧室を建設しました。

パニッツィは、当時急速に増加していた図書館の蔵書を利用者が簡単にアクセスできるようにするため、目録の整理と記述方法の革新を求めました。このようにして、彼は著者名や出版情報を統一的に記載する新しい規則を考案しました。これにより、図書館目録は単なる書名のリストから、利用者が利益を得るための検索ツールへと進化しました。

近代目録法の父

彼が提唱した『91箇条の目録規則』は、目録作成における画期的な基準となり、20世紀半ばまでの約100年間、大英博物館の目録法の礎として使用されました。また、この規則は後に国際的な標準書誌記述（ISBD）の基礎ともなりました。パニッツィの貢献により、彼は「近代目録法の祖」と称され、図書館の世界に大きな影響を与えました。

晩年

パニッツィは1869年に退職し、その功績が評価されてナイトに叙任されました。彼の業績は、図書館学の発展に寄与し続け、資料の体系的な整理と利用促進を実現しました。パニッツィの生涯を通じて、彼が築いた基盤は、今日の図書館運営においても重要な意味を持っています。

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