アントニーン・ザーポトツキー

アントニーン・ザーポトツキー：チェコスロバキアの政治家、作家

アントニーン・ザーポトツキー（Antonín Zápotocký, 1884年12月19日 - 1957年11月13日）は、チェコスロバキア共産党の重要な指導者であり、戦後のチェコスロバキアにおいて首相（1948年 - 1953年）と大統領（1953年 - 1957年）を歴任しました。

生い立ちと政治活動

ザーポトツキーは、オーストリア・ハンガリー帝国領時代のボヘミア地方、クラドノ近郊のザーコラニという町で生まれました。彼の父、ラジスラフはチェコ社会民主党の創設者の一人であり、アントニーンも幼い頃から政治的な影響を受けて育ちました。

1921年、ザーポトツキーはチェコスロバキア共産党の創設に関わり、1922年から1925年まで書記長を務めました。第二次世界大戦中にはザクセンハウゼン強制収容所に収容されるという苦難を経験しましたが、戦後解放され、首相に就任しました。

大統領として

ザーポトツキーは大統領として、前任者のクレメント・ゴットワルトとは異なる統治スタイルを志向しました。ゴットワルトと比較して、より人道的で穏健な政策を好んだとされています。しかし、彼の在任中には、より穏健かつ漸進的な統治を求めるアントニーン・ノヴォトニーが台頭し、権力闘争が繰り広げられました。

1953年5月21日に決定された「通貨改革」は、農民や高給労働者の貯蓄や資産を奪うものであり、これに対する国民の不満が高まりました。この混乱の中でノヴォトニーの権限と人気が増大し、ソビエト連邦はモスクワにおいて「集団指導体制」への移行を決定、ザーポトツキーからノヴォトニーへの権限移譲を迫る結果となりました。

死去

1957年11月13日、アントニーン・ザーポトツキーは73歳で生涯を閉じました。

文学作品

ザーポトツキーは、政治家として活動する傍ら、チェコスロバキアの労働運動の歴史を題材としたいくつかの小説を執筆しました。彼の作品の中でも、「クラドノの赤い光」（Rudá záře nad Kladnem）と「新しい戦士は立ち上がる」（Vstanou noví bojovníci）は映画化され、広く知られています。

ザーポトツキーは、激動の時代を生きた政治家であり、また、社会主義リアリズムの作家として、チェコスロバキアの歴史に足跡を残しました。

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