アントニー・ヴァンデン・ボーレ

アントニー・ヴァンデン・ボーレ：異才のサイドバック、その軌跡

アントニー・アンリ・ヴァンデン・ボーレ（Anthony Henri Vanden Borre, 1987年10月24日 - ）は、コンゴ民主共和国（旧ザイール）出身の元サッカー選手です。主に右サイドバック、時には右サイドハーフとしてプレーしました。

生い立ちとアンデルレヒトでの台頭

ヴァンデン・ボーレは、ベルギー人の父とコンゴ人の母の間に生まれました。幼少期にベルギーへ移住し、8歳で名門RSCアンデルレヒトの下部組織に入団。同じくベルギーとコンゴの血を引くヴァンサン・コンパニと共に育ちました。2004年3月、16歳と141日という若さでプロデビューを飾り、その才能の片鱗を見せつけます。2005-06シーズンには、UEFAチャンピオンズリーグで強豪チェルシーFCを相手に印象的なプレーを見せ、国内外のクラブから注目を集めました。

アンデルレヒトでは、コンパニと共にクラブの将来を担う存在として期待され、クラブの象徴的存在であるポール・ヴァン・ヒムストから「これまで見てきた中で最大の逸材」とまで称賛されました。しかし、そのキャリアは常に順風満帆とは言えませんでした。集中力の欠如や負傷に悩まされ、髪型などピッチ外での行動もメディアやコーチ陣から批判されることもありました。

海外での挑戦

2007年、ヴァンデン・ボーレはイタリア・セリエAのACFフィオレンティーナへ移籍。しかし、出場機会には恵まれず、ジェノアCFCへ共同保有の形で移籍します。ジェノアでは一定の出場機会を得ましたが、2009-10シーズン開幕前に構想外となり、ポーツマスFCへ期限付き移籍。

ポーツマスでは、フットボールリーグカップで初得点を記録するものの、オウンゴールや退場処分などもあり、目立った活躍はできませんでした。その後、KRCヘンクへ移籍し、ベルギーリーグ優勝を経験。しかし、監督批判などの問題行動を起こし、クラブを去ることになります。

古巣アンデルレヒトへの復帰とその後

SCタフリヤ・シンフェロポリとの契約交渉が決裂した後、2013年1月、ヴァンデン・ボーレは古巣アンデルレヒトへ復帰。5年ぶりの復帰となりました。2016年にはモンペリエHSCへ期限付き移籍。2017年には現役引退を示唆するも、TPマゼンベに加入。しかし、同年8月には退団しています。

代表としての活躍

ヴァンデン・ボーレは、コンゴ民主共和国とベルギーの市民権を持っており、ベルギー代表を選択。2004年4月、16歳186日で代表デビューを飾り、これは当時のベルギー代表史上2番目の若さでした。UEFA U-21欧州選手権や北京オリンピックにも出場。2014 FIFAワールドカップのメンバーにも選出されました。

タイトル

アンデルレヒト
ジュピラー・プロ・リーグ: 2003-04, 2004-05, 2006-07, 2012-13, 2013-14
ベルギー・スーパーカップ: 2004, 2013

ヘンク
ジュピラー・プロ・リーグ: 2010-11
ベルギー・スーパーカップ: 2011

アントニー・ヴァンデン・ボーレは、その才能とポテンシャルを高く評価されながらも、様々な困難に直面したキャリアを送りました。しかし、その異才ぶりは多くの人々の記憶に残るでしょう。

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