アントファガスタ県

アントファガスタ県：チリ北部、砂漠と資源の県

アントファガスタ県は、チリ共和国北部のアントファガスタ州に位置する県です。県都は、太平洋に面した港町であるアントファガスタ市です。アタカマ砂漠の一部が県内に含まれており、その乾燥した気候と広大な地形が特徴です。

歴史

19世紀、アントファガスタ県周辺地域は、チリとボリビアが互いに領有権を主張していました。1866年から1879年の間は、契約上ボリビア領とされ、「アタカマ州」または「沿海部」として知られていました。しかし、1879年から1884年にかけて発生した太平洋戦争の結果、チリがこの地域を占領。1902年にチリに強制的に編入されました。この経緯は、ボリビア国内では、隣国による不当な領土の強奪として認識されており、現在でも両国間の外交関係に影響を与えています。

地理

アントファガスタ県は、アタカマ砂漠の中に位置しています。その広大な面積は67,813.5平方キロメートルに及び、チリ国内で2番目に大きな県です。ただし、1位のアンタルティカ・チレーナ県には南極大陸の一部が含まれており、南極の領有権主張が国際的に凍結されている現状を鑑みると、実質的にはアントファガスタ県がチリ最大の県と言えるでしょう。

アントファガスタ市の北東約140kmには、かつて重要なカラコレス銀山が存在し、含塩物などの鉱床が豊富です。県内では、銅、銀、硝酸ナトリウム、ホウ砂、含塩物といった鉱物資源が産出され、輸出産業の重要な基盤となっています。また、鉄やマンガンなどの資源も確認されています。

人口動態

2002年の国勢調査によれば、アントファガスタ県の人口は318,779人です。その内訳は、男性が165,847人、女性が152,932人となっています。人口の大部分は都市部に集中しており、都市的地域に313,244人（98.3%）、地方に5,535人（1.7%）が居住しています。人口密度は1平方キロメートルあたり4.7人です。1992年から2002年の10年間で人口は29.1%増加しており、急速な都市化と経済発展を背景に、人口増加が著しい地域となっています。アントファガスタ市の他に、タルタル、メヒヨネスなどの主要都市があります。

行政

アントファガスタ県は、チリの第二級行政区画であり、4つのコムーナ（基礎自治体）によって構成されています。県知事は、チリの大統領によって任命されます。県庁は、アントファガスタ市のアルトゥーロ・プラット通り384番地の6階に位置しています。

アントファガスタ県は、その歴史、地理的特徴、豊富な資源、そして急速な発展を通じて、チリにおいて重要な役割を果たしている県です。

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