アンドラーシュ・コーロディ

アンドラーシュ・コーロディは、1922年5月24日にハンガリーの首都ブダペストで生を受けました。音楽への情熱に導かれ、彼は権威あるリスト音楽院で深い学びを得ます。ここでは、ピアノをマルギット・ヴァロとミクローシュ・マースに、作曲をラースロー・ライタに、そして指揮法をヤーノシュ・フェレンチクという高名な師事し、多角的な音楽的基盤を築き上げました。

彼のプロフェッショナルとしての歩みは、1946年にハンガリー国立歌劇場の合唱指揮者として始まりました。劇場の舞台裏からキャリアをスタートさせた彼は、着実にその才能を磨いていきます。激動の時代であった1956年のハンガリー動乱を機にソビエトへ渡り、国際的な活動の扉を開きました。翌1957年には、ハンガリー人としては初めてボリショイ劇場での客演指揮を果たし、これは当時の東西冷戦下の状況においては特筆すべき出来事であり、彼の名声を高める一歩となりました。

極東の地、日本へは、1962年に東京交響楽団からの招聘を受けて初めて訪れ、その優れた指揮で日本の聴衆にも深い感銘を与えました。国際的な活動を展開する一方で、故国ハンガリーでの中心的な役割も担います。1963年には、彼が初期キャリアを築いたハンガリー国立歌劇場の音楽監督に就任し、その芸術的水準の維持・向上に貢献しました。

さらに1967年からは、国内を代表するオーケストラの一つであるブダペスト・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者という重責を任されます。彼は亡くなる1986年までこのポストに留まり、長期にわたって楽団の音楽性を形成し、多くの名演を生み出しました。指揮者としての活動に加え、教育者としても情熱を注ぎました。

1957年からは母校であるリスト音楽院で教鞭を執り、次世代の音楽家たちの育成に尽力しました。彼の指導を受けた門下からは、アンドラーシュ・リゲティのような優れた指揮者も輩出されています。アンドラーシュ・コーロディは、指揮者として国内外で活躍し、ハンガリーの音楽界に多大な貢献をするとともに、教育者として多くの後進を導いた、その功績は長く記憶されるべき人物です。1986年9月17日、イタリアのトレヴィーゾでその生涯を終えました。

もう一度検索