合唱指揮者

合唱指揮者とは

合唱指揮者は、合唱団の音楽的な指導を担う専門家です。その役割は多岐にわたり、オーケストラを伴う合唱作品での事前の音楽稽古から、合唱曲を専門に演奏する際の指揮、さらには作曲家自身が合唱団を指揮する場合まで、様々な場面で活躍します。

合唱指揮者の役割

合唱指揮者の役割は、大きく分けて3つあります。

1. オーケストラ付き合唱作品における事前練習での指揮: オーケストラ伴奏のある合唱曲やオペラなどにおいて、オーケストラとの合同練習に先立ち、合唱団のみで音楽的な基礎を作り上げる役割です。本番では、オーケストラの指揮者のタクトが見えにくい場合や、合唱団員が舞台裏にいる場合などに、補佐的な指揮を行うこともあります。
2. 合唱曲専門の演奏における指揮: 合唱曲を専門に演奏する合唱団の指揮者です。オーケストラ伴奏のある曲よりも、無伴奏や小編成の伴奏の曲を好む傾向があります。専門的な指揮教育を受けていない場合もあります。
3. 合唱団の指揮全般: 上記1、2の両方を包括し、合唱団の指導全般を担う指揮者です。日本ではオーケストラの指揮者と合唱指揮者が分かれていることが多いですが、欧米ではピアノ伴奏者と兼任することが多く、放送合唱団の常任指揮者がオーケストラ伴奏で指揮をすることがあります。また、ボイストレーナーを兼任する場合や、アシスタントとしてボイストレーナーを置く場合、ピアニストとボイストレーナーを兼任する場合など、様々な形態があります。

歴史的背景

19世紀には、大規模な合唱を伴う作品やイベントが増加したため、合唱指揮者の必要性が高まりました。エクトル・ベルリオーズは自身の著書で合唱指揮者の有用性を認めつつも、指導能力の低い指揮者を「危険な助手」と評しています。

合唱指揮者の教育

ヨーロッパでは、合唱指揮を専門とする学士号や修士号を取得することが一般的です。アメリカの音楽大学では、合唱指揮科がオーケストラ指揮科や吹奏楽指揮科と並んで設けられ、体系的な教育が行われています。

日本では、多くの音楽大学で合唱の授業がありますが、合唱指揮を専門に教える大学はまだ少ない状況です。声楽科を卒業後に合唱指導に携わるケースが多いようです。ただし、近年では、合唱指揮に特化したコースを設ける教育機関も現れてきています。

作曲家と合唱指揮

19世紀から20世紀前半にかけて、多くの作曲家が合唱指揮を経験しました。これは、自作の発表の機会を得やすかったことや、作品の意図を正確に伝えられるメリットがあったためと考えられます。しかし、作曲と指揮の分業が進んだ現代では、合唱指揮を専門とする作曲家は少なくなりました。

著名な合唱指揮者

日本以外

(この項目は、提供されたテキストには情報がないため、割愛します。)

日本

大中恩
荻久保和明
松下耕
清水脩
石井歓
佐藤眞
佐藤賢太郎

まとめ

合唱指揮者は、合唱団の音楽的な成長を導く重要な役割を担っています。その活動は、オーケストラ付き合唱作品の事前練習から、合唱曲専門の演奏、そして作曲家による指揮まで、多岐にわたります。近年では専門的な教育も整備されつつあり、今後の合唱音楽界を支える人材として、その活躍が期待されています。

参考資料

エクトール・ベルリオーズ、リヒャルト・シュトラウス『管弦楽法』音楽之友社、2006年、pp.551-552

外部リンク

日本合唱指揮者協会
よりよい合唱のためのメモ 作曲家・指揮者佐藤賢太郎の公式サイトより
* 中学 学級担任のための合唱指導30のコツ - ウェイバックマシン

もう一度検索