アンドラーシュ2世 (ハンガリー王)

アンドラーシュ2世の生涯と治世

アンドラーシュ2世（1177年 - 1235年）は、ハンガリー王国のアールパード朝に属し、1205年から1235年まで治世を敷いていた国王です。彼はハンガリー王位だけでなく、クロアチア王位も兼任していました。兄イムレ王と甥ラースロー3世の死去を受けて王位を継承したアンドラーシュは、支持基盤を広げるために国の領土を貴族に分配しました。特に1222年には国内の貴族に特権を認める金印勅書を発布し、その後1231年には聖職者に有利な条項を加えました。

幼少期と初期の支配

アンドラーシュは王ベーラ3世の次男として生まれました。王位継承の見込みが薄かった幼少期、彼は様々な経験を積むことになります。1188年、追放されたウラジーミル公子がハンガリーに逃げ込み、アンドラーシュは名目上ガリツィアの統治を命じられますが、実際にはその地に入ることはありませんでした。この頃、ハンガリー軍とガリツィアの大貴族たちとの間で反乱が起こると、アンドラーシュもその渦中に巻き込まれますが、一時的な勝利は得られず、逃亡者ウラジーミルに追い出されます。

兄への反乱と王位継承

1196年に兄イムレが即位すると、アンドラーシュはその王位を奪うために陰謀を巡らし、1199年にはイムレに敗れオーストリアに亡命します。しかし、教皇の仲裁により和平が実現し、奪った権利はイムレに戻ります。1204年、イムレが亡くなると、アンドラーシュは甥のラースローの後見人としてハンガリーを治めますが、ラースローが亡くなるとついに王位を継承することになります。

支持基盤と政策の変更

アンドラーシュは1205年に正式に戴冠し、国内政策を大きく変えました。彼は修道院や教会、貴族に土地や城を分配し、大領主層を形成しました。この結果、国家の収益が減ったため、アンドラーシュは貨幣の鋳造や税収増を試みましたが、長期的には王権を弱体化させる要因となりました。彼の妻ゲルトルードは、アンドラーシュの留守中にドイツ系の廷臣を優遇し、これも不満を引き起こす要因となりました。

周辺国への干渉と戦略

治世の中でアンドラーシュはガリツィアを巡る軍事行動を行い、数度にわたってその支配権を強化しました。特にダニーロを即位させるために派兵するなど、地域の政治状況に深く関与しました。しかし、反乱者によるゲルトルードの暗殺事件が起こり、アンドラーシュは不在から帰国せざるを得なくなります。この一連の出来事は、彼の治世における混乱の一因となりました。

金印勅書と教会との対立

1222年、アンドラーシュは金印勅書を発布し、貴族層の権利を強化します。この勅書は、当時のイングランド王国におけるマグナ・カルタに似ているとされますが、アンドラーシュ自身は貴族の不満に応じる形で発布しました。教会との関係も複雑で、教皇からの圧力を受ける場面も多く、教会の権限強化に対抗する必要がありました。

晩年と死

アンドラーシュは最晩年に再婚し、遺産や権力争いで息子たちとの対立が深まります。1235年には死亡し、彼の死はハンガリーの政治構造に大きな影響を与えることとなりました。アンドラーシュ2世はその波乱に満ちた生涯を終え、彼の治世は多くの矛盾と葛藤を内包していました。

子供たち

アンドラーシュ2世は、妻ゲルトルードとの間に5人の子供をもうけ、さらにヨランドとベアトリーチェとの婚姻からも子孫がありました。彼の家族関係は、後のハンガリー政局にも多大な影響を与え、一族は様々な対立を経て歴史に名を刻むことになります。

アンドラーシュ2世の治世は、政治的混乱と貴族との関係、さらには彼の家族の動向を通じて、ハンガリーの中世史において重要な位置を占めるものでした。

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