アンドーヴァー神学校

アンドーヴァー神学校

アンドーヴァー神学校（Andover Theological Seminary）は、アメリカ合衆国マサチューセッツ州にかつて存在した、プロテスタントの会衆派に属する高等教育機関です。

歴史

この神学校は1807年に創立されました。当時のアメリカ、特にニューイングランド地方におけるキリスト教神学教育において極めて重要な役割を担い、その学問的水準と影響力から「ニューイングランド神学の砦」と称されるほどの存在でした。設立当初はマサチューセッツ州アンドーヴァーの地に位置し、神学研究と聖職者養成の中心地として発展しました。

合併と移転

長い歴史の中で、アメリカの神学校を取り巻く環境は変化していきます。アンドーヴァー神学校もまた、時代の流れの中で再編を経験することとなります。ボストン郊外にあるニュートンへの移転を機に、同じく歴史を持つバプテスト派のニュートン神学校と合同しました。この合同により、両校はアンドーヴァー・ニュートン神学校（Andover Newton Theological School）として新たな一歩を踏み出しました。これは、宗派を超えた神学教育の協力関係を示す事例としても注目されました。

イェール神学校との統合

アンドーヴァー・ニュートン神学校となった後も、高等教育機関の統合・再編の波は続きました。2017年からは、名門イェール大学の神学校であるイェール神学校の一部門として統合されることとなりました。この統合に先立ち、2年間の試行期間が設けられ、その間に段階的に手続きが進められました。この統合により、独立した教育機関としてのアンドーヴァー神学校およびアンドーヴァー・ニュートン神学校の歴史はその幕を閉じました。しかし、その教育理念や伝統の一部は、イェール神学校の中で引き継がれています。

著名な卒業生

アンドーヴァー神学校およびその後継校からは、国内外で活躍した多くの優れた人物が輩出されています。特に、アメリカ国外、中でも日本に多大な影響を与えた卒業生が複数います。以下にその一部を紹介します。

アドニラム・ジャドソン: 東南アジアでの宣教に生涯を捧げた宣教師。
ジョセフ・ウォード: ダコタ準州（現サウスダコタ州）での教育・社会事業に貢献した人物。
ダニエル・クロスビー・グリーン: 明治時代の日本で活躍したアメリカン・ボードの宣教師。
新島襄: 日本初の本格的な私立大学である同志社大学を創設。
成瀬仁蔵: 日本女子大学校（現日本女子大学）を創設し、日本の女子教育の礎を築いた。
村井知至: 牧師として活動する傍ら、社会事業にも尽力した。
オティス・ケーリ: 明治期の日本で伝道・教育活動を行った宣教師。

これらの卒業生たちの活動を通じて、アンドーヴァー神学校で培われた神学や教育理念は、それぞれの国や分野で大きな影響を与えました。

参考文献

『現代語で読む新島襄』

アンドーヴァー神学校の歴史は、アメリカにおけるプロテスタント神学教育の変遷、宗派間の協力、そして国際的な人材交流の軌跡を示すものとして、今日でも学術的関心を集めています。

もう一度検索