アンナ・カジミェジュヴナ

アンナ・カジミェジュヴナ：ポーランド王女、中世の政治舞台で活躍した女性

アンナ・カジミェジュヴナ（1366年 - 1425年）は、ポーランド王カジミェシュ3世の娘として生まれ、ツェリェ伯ヴィリェムに嫁いだ王女です。15世紀初頭のポーランドにおいて、国政に大きな影響力を持った女性として知られています。

生涯

アンナは、ポーランド王カジミェシュ3世と4番目の妻ヤドヴィガ・ジャガンスカの間に生まれました。カジミェシュ3世には、エルジュビェタとクネグンダという2人の異母姉妹がいましたが、アンナが生まれた時には既に亡くなっていました。アンナはカジミェシュ3世にとって待望の子供でしたが、カジミェシュ3世には男子がおらず、アンナが4歳の時に父王が亡くなると、ポーランド王位は甥であるハンガリー王ラヨシュ1世が継承することになりました。

1380年、アンナは14歳でツェリェ伯ヴィリェム（ヴィルヘルム、1361年 - 1392年）と結婚しました。ヴィリェムは、アンナの従兄にあたるハンガリー王・ポーランド王ラヨシュ1世が、ハンガリー王国南部に勢力を持つ封臣の中から選んだ相手でした。1386年、アンナは一人娘のアナを産みましたが、1392年に夫ヴィリェムと死別しました。その後、1394年にテック公ウルリヒ（1432年没）と再婚しています。

ポーランドでは1386年に隣国リトアニアの君主ヨガイラ（ヴワディスワフ2世ヤギェウォ）が国王に迎えられました。ヴワディスワフ2世は最初の妻ヤドヴィガ女王（ラヨシュ1世の娘）が子供を残さずに亡くなると、ヤドヴィガに代わるポーランド王家の血を引く女性との再婚を望みました。アンナは、カジミェシュ3世の直系子孫である自分の子孫にポーランドを取り戻させたい、また出身国に対する影響力を築きたいと考えていました。そこでアンナは1401年ないし1402年、まだ幼い一人娘のアナを50歳前後のポーランド王ヴワディスワフ2世に嫁がせました。アナは1408年にヤドヴィガ王女を出産しました。

テック公爵夫人・ツェリェ伯夫人アンナは、ポーランドにおける自分の娘と孫娘の立場を強化するために奔走しました。しかし、娘であるアナ王妃が1416年に亡くなると、ヴワディスワフ2世は1417年にエルジュビェタ・グラノフスカ、1422年にゾフィア・ホルシャンスカと再婚しますが、彼女たちはどちらもピャスト家の血を引いていませんでした。ヴワディスワフは3度目の結婚後も、ポーランド王国の血統的相続権を有する妻を得ることができませんでした。しかし、最後の妃ゾフィアとの間に2人の息子をもうけることができました。

1421年、アンナの孫娘ヤドヴィガは、ブランデンブルク選帝侯フリードリヒ1世の嗣子フリードリヒ2世と婚約しました。アンナを中心とするポーランド貴族の一派は、ヤドヴィガとその夫がヴワディスワフのポーランド王位（あるいはリトアニア大公位に関しても）を継ぐべきだと考えていました。

アンナは1425年に亡くなり、後ろ盾を失ったヤドヴィガ王女は1431年に未婚のまま亡くなりました。伝えられるところによると、毒殺だったということです。ヤドヴィガ王女の死により、アンナの直系子孫は絶えることになりました。

アンナ・カジミェジュヴナは、中世ヨーロッパの政治において、女性がどのように影響力を行使し、自らの地位を確立しようとしたのかを示す興味深い例と言えるでしょう。

もう一度検索