アンバート

アンバート

エクアドル共和国の中央部、緑豊かな谷間に位置するアンバートは、トゥングラワ県の県都です。アンデス山脈の標高およそ2,500メートルの高地にあり、国内では人口規模で10番目に位置する主要都市の一つとなっています。

都市の歴史は、度重なる自然災害、特に地震との戦いの歴史でもあります。過去、アンバートは幾度となく壊滅的な被害に見舞われ、その度に街は再建されてきました。特に記憶に新しいのは、1949年8月5日に発生したマグニチュード6.8の大地震です。この地震により、市街地の大部分や歴史ある大聖堂を含む多くの建造物が完全に、あるいは半壊する甚大な被害を受けました。しかし、住民たちは驚異的な回復力を見せ、わずか2年という短期間で街の再建を成し遂げました。この不屈の精神と、アンバテーニョス（アンバートの住民）と呼ばれる人々の粘り強さを称え、街では毎年2月のカーニバルの時期に合わせて「果物と花のフェスティバル（Fiesta de la Fruta y de la Flor）」が盛大に開催されています。色鮮やかな花や果物を使った山車が登場し、国内外から多くの観光客が訪れるこの祭りは、都市の復興のシンボルとなっています。

アンバートの起源は、1698年12月6日に遡ります。当時の住民がキトに置かれていた王立裁判所（アウディエンシア）に請願し、現在の場所に新たな都市が建設されたことに始まります。その後およそ一世紀の間、アンバートはゆっくりと発展を遂げ、周辺の山岳地域における経済的・文化的中心地としての地位を確立していきました。

都市はまた、19世紀初頭のエクアドル独立戦争においても重要な役割を担いました。1820年10月9日、南米の他地域からの支援を受けながら、グアヤキルの市民がスペインからの独立を宣言し、「フンタ・デ・グアヤキル（Junta de Guayaquil）」と呼ばれる革命政府を樹立しました。この革命政府は、植民地支配の中心であったキトのスペイン軍への対抗を開始し、その進軍経路にあったアンバートは、比較的早い段階でスペインの支配から解放された都市の一つとなりました。そして、1820年11月12日、アンバートは正式にスペインからの独立を宣言し、自由の獲得を国内外に示しました。この日は現在も都市の重要な記念日として祝われています。

度重なる試練を乗り越え、歴史的な独立運動の一翼を担ったアンバートは、エクアドルの豊かな文化と、住民の粘り強さ、そして復興の精神を象徴する都市と言えるでしょう。

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