アンブロキソール

アンブロキソールとは

アンブロキソールは、主に去痰薬として使用される医薬品です。痰が絡んで咳が出やすい状態や、のどの痛みを緩和する効果が期待できます。様々な剤形があり、内服薬の他に、吸入薬やトローチなどがあります。この薬は、ブロムヘキシンの活性代謝物として知られています。

作用機序

去痰作用

アンブロキソールは、痰の粘りを調整することで、痰を排出しやすくする効果があります。具体的には、以下の2つの作用で去痰効果を発揮します。

ムコ多糖分解酵素の活性化: 痰の主成分であるムコ多糖を分解する酵素を活性化し、痰の粘度を低下させます。
線毛運動の促進: 気管支にある線毛の運動を活発にし、粘度が低下した痰を体外へ排出しやすくします。

また、肺胞において肺胞を広げやすくする肺サーファクタントの生成を促進する作用も持っています。

鎮痛作用

アンブロキソールには、口腔や咽頭の粘膜の痛みを和らげる作用があります。ただし、この鎮痛効果は軽度であり、学術的な議論の対象となっています。研究によっては、ペパーミントやユーカリ入りのキャンディーの方が効果的だとするものもあります。

試験管内での研究では、アンブロキソールの局所麻酔作用は、神経のナトリウムチャネルを阻害することによると考えられています。しかし、これらの研究でも、アンブロキソールは急性の痛みにはほとんど効果がないとされています。一方で、慢性の痛みや神経痛に対しては、アンブロキソールの静脈内投与が鎮痛効果を示すことがわかっています。

使用上の注意点

副作用

まれに、過敏反応、吐き気、胃の不快感、嘔吐などの副作用が報告されています。また、ごくまれに、重篤な皮膚粘膜症状（スティーブンス・ジョンソン症候群、ライエル症候群）との関連が報告されているため、皮膚や粘膜に異常が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医師の診察を受けてください。

使用制限

2歳未満の小児: 医師の指示のもとで使用してください。
12歳未満の児童: 咽頭鎮痛薬としての使用は避けることが推奨されています。
妊娠中・授乳中の女性: 服用は避けるか、医師と相談の上、慎重に使用してください。アンブロキソールは胎盤を通過し、母乳にも移行することがわかっています。

その他

アンブロキソールは苦味があるため、服用する際には、なるべく冷たい水で服用すると苦味を感じにくいとされています。お湯で服用すると苦味が強くなります。

その他の情報

アンブロキソールは、1968年にベーリンガー・インゲルハイム社によって特許が取得されました。現在では、多くのジェネリック医薬品の成分として使用されています。

主な商品名

ムコソルバン (帝人ファーマ)
ムコソレート (武田テバ薬品)
ムコサール (ベーリンガー・インゲルハイム)
アンブロン (日本ユニバーサル薬品)
フストレス (大洋薬品)

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