アンブローズ・グリング

アンブローズ・D・グリング（1849年 - 1934年）は、アメリカ・ドイツ改革派教会および米国聖公会の宣教師として、日本におけるキリスト教の発展に貢献しました。

イェール神学校を1878年に卒業後、アメリカ・ドイツ改革派教会の牧師となります。翌1879年に来日し、東京の築地で伝道活動を開始しました。1884年には、キリスト教の重要な教理書であるハイデルベルク信仰問答を初めて日本語に翻訳し、日本の信徒がより深く信仰を理解する手助けをしました。また、元大工町教会（現在の神田教会）の設立にも尽力しました。

1885年、グリングはホーイと共に東北地方での伝道を開始し、1886年には仙台神学校（後の東北学院大学）と宮城女学校（現在の宮城学院中学校高等学校）を開校しました。特に宮城女学校においては、自ら校舎の設計も手がけるなど、教育に対する熱意を示しました。

1887年にアメリカへ帰国後、グリングはアメリカ聖公会に転向しました。1889年からは中央ペンシルバニア教会で牧会活動を行い、1891年に執事、1892年に司祭に叙任され、フォレスト市で牧師として奉仕しました。

1892年、聖公会の宣教師として再び来日し、京都で伝道活動を再開しました。テオドシウス・ティング、J・C・アンブラーらの活動を受け継ぎ、京都三一教会を設立しました。1902年からは、福井県の小浜や京都府の舞鶴といった地域でも伝道活動を展開しました。

1908年に宣教師を引退してアメリカへ帰国し、その後はマサチューセッツ州ケンブリッジに居を構えました。グリングの日本における宣教活動は、教育機関の設立や教会の建設、信仰理解の深化など、多岐にわたる貢献を果たしました。

参考文献

『日本キリスト教歴史大事典』教文館、1988年
高橋昌郎『明治のキリスト教』吉川弘文館、2003年

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