アンホーリー・テラー

『アンホーリー・テラー』（Unholy Terror）は、アメリカのヘヴィメタルバンド、W.A.S.P.が2001年に発表した9枚目のスタジオ・アルバムです。サンクチュアリ・レコード傘下のMetal-Is Recordsからリリースされました。

制作背景

アルバムのタイトルは、ブラッキー・ローレス自身の宗教体験に深く根ざしています。敬虔なクリスチャンとして育ったローレスは、18歳で教会への不満からオカルトへと傾倒しました。本作についてローレスは、「他人の宗教や信仰を非難するのではなく、むしろ尊重すべきだ。自分の答えは自分で探し、既存の信仰に頼るべきではないというメッセージを伝えたかった」と語っています。また、本作を初期の代表作『魔人伝』（1984年）と、より円熟味を増した『ヘッドレス・チルドレン』（1989年）の中間的な作品と位置付けています。

「フー・スレイド・ベイビー・ジェーン?」と「ウェイステッド・ホワイト・ボーイズ」には、名ギタリストであるロイ・Zがゲスト参加し、アルバムに華を添えています。

また、本作リリース後の2001年8月には、オリジナル・メンバーであるクリス・ホルムズが二度目の脱退。結果的に、本作がホルムズ在籍時としては最後のアルバムとなりました。

評価と反響

アメリカではチャートインしませんでしたが、ドイツのアルバム・チャートでは前作『ヘルドラド』（1999年）に続きトップ100入りし、最高88位を記録しました。

AllMusicのゲイリー・ヒルは、5点満点中2.5点を付け、当時のW.A.S.P.が持つ「未完成に近いほどの生々しさ」と「よりメロディックでパワフルな、ウォール・オブ・サウンド的アプローチ」という二面性を表現したアルバムだと評しました。

収録曲

全曲ブラッキー・ローレス作詞作曲。

1. レット・イット・ロア - Let It Roar
2. ヘイト・トゥ・ラヴ・ミー - Hate to Love Me
3. ロコ・モティヴ・マン - Loco-Motive Man (And the Killer Babies)
4. アンホーリー・テラー - Unholy Terror
5. カリスマ - Charisma
6. フー・スレイド・ベイビー・ジェーン? - Who Slayed Baby Jane?
7. ユーフォリア - Euphoria
8. レイヴン・ハート - Raven Heart
9. エヴァーモア - Evermore
10. ウェイステッド・ホワイト・ボーイズ - Wasted White Boys

日本盤ボーナス・トラック

11. ヘイト・トゥ・ラヴ・ミー（カラオケ・ミックス） - Hate to Love Me (Karaoke Mix)

参加ミュージシャン

ブラッキー・ローレス - リード・ボーカル、ギター、キーボード
クリス・ホルムズ - リードギター
マイク・デューダ - ベース、ボーカル
ステット・ホーランド - ドラムス、ボーカル
フランキー・バネリ - ドラムス(on #2, #3, #5, #8, #10)

アディショナル・ミュージシャン

[ロイ・Z]] - リード[[ギター]
* ヴァレンティナ - バックグラウンド・ボーカル(on #6)

『アンホーリー・テラー』は、W.A.S.P.の音楽性をさらに深化させ、新たな方向性を示唆した作品として、ファンにとって重要な一枚と言えるでしょう。

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