アンリエット・ド・フランス

アンリエット・アンヌ・ド・フランス

アンリエット・アンヌ・ド・フランス（Henriette Anne de France）は、1727年8月14日に生まれ、1752年2月10日に世を去ったフランス王女である。ブルボン朝第4代フランス国王ルイ15世と、ポーランド王スタニスワフ・レシチニスキの娘である王妃マリー・レクザンスカの間に生まれた第二王女にあたる。彼女には、同じ日に生まれた双子の姉、ルイーズ・エリザベートがいた。

生涯と性格

アンリエットは、双子の姉ルイーズ・エリザベートとともに、父であるルイ15世から深い寵愛を受けた王女として知られる。彼女たちの肖像画が今日に伝えているように、特に音楽を愛好したとされる。王女としての教養を身につけながら、王宮の一員としてその短い生涯を送った。

弟王太子との関係とエピソード

アンリエットは、多くの兄弟姉妹の中でも、弟である王太子ルイ（ルイ・フェルディナン・ド・フランス）ととりわけ親しい関係にあった。王太子ルイは、最初の妻マリー＝テレーズ・ラファエラ・ド・エスパーニュを若くして亡くした後、サクソニー選帝侯フリードリヒ・アウグスト2世の娘、マリー＝ジョゼフ・ド・サックスを新たな妻として迎えた。

しかし、愛する最初の妻の死による深い悲しみから立ち直れずにいた王太子ルイは、後妻として迎えられたマリー＝ジョゼフに対し、結婚当初非常に冷淡な態度をとった。これは、新しい王太子妃にとって非常につらい状況であった。

弟の苦悩と新しい王太子妃の置かれた困難な状況を間近で見ていたアンリエットは、この不和を解消しようと尽力した。彼女は弟ルイに対し、亡き妻への悲しみを後妻であるマリー＝ジョゼフに不当にぶつけていることを諄々と諭し、夫婦間の和解を促した。アンリエットの誠実な説得と仲介は、王太子ルイの心を動かし、彼がマリー＝ジョゼフに対し心を開く上で重要な役割を果たしたと言われている。この姉の働きかけによって、やがて王太子夫婦の間には愛情が芽生え、円満な関係が築かれることとなった。

夭逝と埋葬

アンリエット・アンヌ・ド・フランスは、結婚することなく、わずか24歳でその生涯を終えた。死因は当時恐れられていた天然痘であった。彼女の突然の死は、父ルイ15世をはじめとする家族に大きな悲しみをもたらした。

その遺体は、フランス王家の主要な墓所であるサン＝ドニ大聖堂に埋葬された。後に、1759年に双子の姉であるルイーズ・エリザベートが没すると、彼女もまたアンリエットと同じ墓に合葬されている。

しかし、フランス革命という歴史的な激動期において、サン＝ドニ大聖堂に安置されていたブルボン家の墓所は荒らされることとなる。アンリエットとルイーズ・エリザベートの墓もまた、他の多くの王族の墓と同様に破壊され、その遺骸も散逸するという憂き目に遭った。

短い生涯ではあったが、王家の愛娘として、また弟夫婦の仲介者として、その存在は王宮内で記憶されたのである。

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