アヴァロン (アルバム)

ロキシー・ミュージック『アヴァロン』：伝説と美学の融合

『アヴァロン』（Avalon）は、1982年にロキシー・ミュージックが発表した8作目のスタジオ・アルバムであり、2024年現在、最後のオリジナル作品として、その名を音楽史に刻んでいます。全英アルバムチャートで1位を獲得し、『ローリング・ストーン』誌の「歴代最高のアルバム500選」にも選ばれるなど、高い評価を得ています。

制作の背景

前作『フレッシュ・アンド・ブラッド』（1980年）も全英アルバムチャートで首位を獲得しましたが、本作『アヴァロン』は、ロキシー・ミュージックにとって商業的な成功を決定づけた作品と言えるでしょう。1980年代初頭、ジョン・レノンの死を受けて彼らが追悼として演奏した「ジェラス・ガイ」は、シングルとして初の全英1位を獲得。バンドは、その勢いを本作へと繋げました。

音楽性と特徴

『アヴァロン』は、アーサー王伝説に登場する理想郷「アヴァロン」をモチーフに、ブライアン・フェリーの洗練された美学が極限まで追求された作品です。ナッソーとニューヨークのスタジオで録音され、パーカッションやヴォーカルに新たな才能を迎え、より深みのあるサウンドスケープを構築しています。タイトル曲「アヴァロン」で印象的なスキャットを披露しているのは、ハイチ出身のヴォーカリスト、ヤニック・エティエンヌ。フェリーが偶然スタジオで見かけた彼女の歌声に感銘を受け、起用したというエピソードも残っています。

収録曲

1. 夜に抱かれて (More Than This)
2. ザ・スペース・ビトウィーン (The Space Between)
3. アヴァロン (Avalon)
4. インディア (India) - インストゥルメンタル
5. 我が胸のときめきを (While My Heart Is Still Beating)
6. ザ・メイン・シング (The Main Thing)
7. テイク・ア・チャンス・ウィズ・ミー (Take a Chance with Me)
8. トゥ・ターン・ユー・オン (To Turn You On)
9. トゥルー・トゥ・ライフ (True to Life)
10. タラ (Tara) - インストゥルメンタル

パーソネル

ブライアン・フェリー - ボーカル、キーボード、ギター・シンセサイザー
フィル・マンザネラ - ギター
* アンディ・マッケイ - オーボエ、サクソフォーン

アディショナル・ミュージシャンとして、ニール・ハバード（ギター）、アラン・スペナー、ニール・ジェイソン（ベース）、ポール・キャラック（ピアノ）、アンディ・ニューマーク、リック・マロッタ（ドラム）、ジミー・マーレン（パーカッション）らが参加しています。

ツアーと解散

アルバム発表後、ロキシー・ミュージックは大規模なツアーを敢行。ヨーロッパ、イギリス、日本、アメリカ、カナダを巡り、その模様はVHS『ザ・ハイ・ロード』やアルバム『ハート・スティル・ビーティング』として記録されました。しかし、このツアーを最後に、ロキシー・ミュージックは解散。本作は、バンドの絶頂期を飾るとともに、終焉を告げる作品となりました。

『アヴァロン』は、ロキシー・ミュージックの音楽的な到達点を示すと同時に、1980年代の音楽シーンを代表する名盤として、今もなお多くの音楽ファンに愛され続けています。その洗練されたサウンドと、ブライアン・フェリーの独特な美学は、時代を超えて輝きを放ち続けています。

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