アーサー・フィードラー

アーサー・フィードラー（Arthur Fiedler, 1894年12月17日 - 1979年7月10日）は、アメリカ合衆国出身の著名な指揮者です。彼は、ボストン・ポップス・オーケストラの音楽監督として、その名声を確立しました。

生い立ちと音楽への目覚め

フィードラーは1894年、マサチューセッツ州ボストンで音楽一家に生まれました。父親はオーストリア出身のヴァイオリニストで、ボストン交響楽団に所属していました。母親はピアニストという環境で育ち、幼い頃から音楽に囲まれていました。ボストン・ラテン・スクールで教育を受けましたが、父親の引退に伴い、家族でオーストリアへ移住しました。その後、音楽の道を志し、1909年にはベルリンでヴァイオリンを学び始めました。

ボストン交響楽団でのキャリア

第一次世界大戦の影響でヨーロッパでの生活が困難になったため、フィードラーはアメリカに戻り、1915年にボストン交響楽団にヴァイオリニストとして入団しました。彼はヴァイオリンだけでなく、ピアノ、オルガン、打楽器など、様々な楽器の演奏もこなし、その多才さを示しました。1924年には、交響楽団のメンバーとともに室内楽団「ボストン・シンフォニエッタ」を設立し、無料の屋外コンサートを開催しました。この活動は、後のボストン・ポップス設立の足がかりとなりました。

ボストン・ポップス・オーケストラの指揮者として

1930年、フィードラーはボストン・ポップス・オーケストラの第18代指揮者に就任しました。彼はその音楽的な才能と、聴衆を楽しませるための演出力によって、オーケストラの人気を飛躍的に高めました。彼は半世紀にわたりこの職を務め、ポピュラー音楽とクラシック音楽の架け橋となるような演奏を数多く行いました。彼の指揮の下、ボストン・ポップスは多くのレコーディングを行い、その総売上は5000万ドルを超え、他のどのオーケストラよりも多い記録となりました。

幅広い活動

フィードラーはボストン・ポップスでの活動以外にも、サンフランシスコ・ポップス・オーケストラをはじめ、世界各地のオーケストラを指揮しました。また、日本にも訪れ、読売日本交響楽団を指揮して演奏会を開催するなど、国際的な活動も行いました。

消防への情熱

フィードラーは「消防オタク」としても知られていました。彼は個人的に消防車両を所有し、消防活動にも関心を寄せていました。また、日本の消防庁音楽隊とも交流を持つなど、消防への情熱は音楽活動と並行して生涯持ち続けました。

受賞と晩年

フィードラーは1977年に、ジェラルド・R・フォード大統領から大統領自由勲章を授与されました。これは、彼の音楽への貢献と功績を称えるものでした。1979年7月10日、フィードラーはマサチューセッツ州ブルックリンで85歳で亡くなりました。彼の死後、ボストン市は彼の功績を称え、今日まで続く無料コンサートの会場であるBoston Esplanadeに彼の胸像を設置しました。

まとめ

アーサー・フィードラーは、その生涯を通して、音楽を愛し、多くの人々に喜びを与えました。彼の音楽は今もなお、多くの人々に愛され続けています。彼の情熱と才能は、音楽史に大きな足跡を残しました。

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