アーサー・C・ミラー

アーサー・チャールズ・ミラー (1895年7月8日-1970年7月13日) は、ハリウッド黄金期を代表するアメリカ合衆国の撮影監督です。ニューヨーク州ロズリン生まれ。1909年、ニューヨーク・モーション・ピクチャー・コーポレーションでキャリアをスタートさせました。若き日から才能を発揮し、19歳でパテ映画に入社、1914年の大ヒット連続活劇『ポーリーヌの冒険 (The Perils of Pauline)』で早くも撮影監督を務めます。

その後、パラマウント映画やフォックス・フィルム・コーポレーションといったメジャー映画会社で活躍。彼のキャリアは、映画史における技術革新と表現様式の変遷と深く関わっています。1910年代から1950年代にかけて、数多くの作品で撮影監督として手腕を発揮しました。その作品群は、時代を反映した多様なジャンルと様式を網羅しています。

彼のキャリアのピークは、ハリウッドの黄金期と重なります。この時代、映画は芸術性を高め、技術的な革新がめざましく進みました。ミラーはその最前線に立ち、時代を代表する名匠として数多くの傑作を生み出しました。彼が手がけた作品は、高い芸術性と技術力を誇り、多くの観客を魅了しました。

ミラーの卓越した技術と芸術性は、アカデミー賞においても高く評価されました。7回のノミネートを受け、そのうち『わが谷は緑なりき (How Green Was My Valley) 』『聖処女 (The Song of Bernadette)』『アンナとシャム王 (Anna and the King of Siam)』の3作品でアカデミー撮影賞を受賞しました。これらの作品は、いずれも高い評価を得ており、ミラーの撮影技術の素晴らしさを示すものです。

受賞作品である『わが谷は緑なりき』は、緑豊かなウェールズの美しい風景を鮮やかに描き出し、観客の心を掴みました。『聖処女』では、神秘的な雰囲気と宗教的な荘厳さを巧みに表現。また、『アンナとシャム王』では、異国の情緒とドラマ性を織り交ぜた美しい映像を作り上げています。これらの作品において、ミラーは時代や文化を映し出すだけでなく、自身の芸術性を存分に発揮しました。

1951年に引退した後も、映画業界への貢献は続きました。全米撮影監督協会の会長を務め、後進の育成にも尽力しました。1970年、カリフォルニア州ハリウッドにて亡くなりました。ハリウッド・メモリアル・パーク・セメタリーに埋葬されています。

彼のフィルモグラフィには、『泥人形 (Idols of Clay)』、『恋の人形 (Cytherea)』、『小聯隊長 (The Little Colonel)』、『ハイジ (Heidi)』、『快傑ゾロ (The Mark of Zorro)』、『嘆きの白薔薇 (The Men in Her Life)』、『タバコ・ロード (Tobacco Road)』、『牛泥棒 (The Ox-Bow Incident)』、『王国の鍵 (The Keys of the Kingdom)』、『呪われた城 (Dragonwyck)』、『剃刀の刃 (The Razor's Edge)』、『紳士協定 (Gentleman's Agreement)』、『三人の妻への手紙 (A Letter to Three Wives)』、『拳銃王 (The Gunfighter)』、『不審者 (The Prowler)』など、ハリウッド黄金期の代表的な作品が数多く含まれています。これらの作品は、現在も高い評価を得ており、映画史に大きな足跡を残しています。アーサー・チャールズ・ミラーは、ハリウッド黄金期を代表する撮影監督として、映画史に名を残す重要な人物と言えるでしょう。

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