牛泥棒

映画『牛泥棒』の魅力とあらすじ

概要

『牛泥棒』（うしどろぼう、原題：The Ox-Bow Incident）は、1943年にアメリカで制作された西部劇映画です。原作は1940年に出版された同名小説で、監督はウィリアム・A・ウェルマン、主演にはヘンリー・フォンダが名を連ねています。この作品は第16回アカデミー賞で作品賞にノミネートされた他、1943年のナショナル・ボード・オブ・レビューで作品賞を受賞しており、1998年にはアメリカ国立フィルム登録簿にも登録されるなど、その価値が評価されています。

あらすじ

映画の舞台は1885年のネバダ州。物語は、ギル・カーターと彼の相棒アート・クロフトが小さな町に到着するところから始まります。この町では、近隣の牧場主が殺害され、彼の牛も盗まれるという事件が発生しています。町の長老であるデイヴィスは、法による公正な裁判を求めていますが、怒りの収まらない町の住民たちは私刑を実行するため、自警団を結成します。

カーターとクロフトは、その自警団に参加することになります。彼らは、犯行の手がかりを追う中で、無実の者たちを見つけ出す必要に迫られます。やがて、キャンプをしていた3人の男たち、マーティン、フアン、アルヴァが捕らえられ、彼らは無実を主張しますが、自警団のメンバーは彼らに対して私刑を求める雰囲気が高まります。デイヴィスやカーター、クロフトは裁判を開くことを提案しますが、冷酷な多数派の意見に押し流され、最終的に3人は裁かれ、絞首刑にされることが決まります。

しかし、皮肉なことに、その直後に保安官が到着し、実際には牧場主が死んでおらず、犯人は捕まったとの知らせを持ち込むのです。ここで明らかになるのは、3人の男たちは無実だったという事実です。自警団のメンバーたちは、自らが犯した過ちに衝撃を受け、酒場で呆然自失の状態になります。カーターは、マーティンの手紙を読み上げますが、その内容は彼を処刑しようとする者たちに対する非難ではなく、人間の良心の美しさに関するものでした。彼の言葉は、自警団の人々に深い思索を促します。

キャスト

• - ギル・カーター：ヘンリー・フォンダ
• - ドナルド・マーティン：ダナ・アンドリュース
• - アート・クロフト：ハリー・モーガン
• - フアン・マルティネス：アンソニー・クイン
• - デイヴィス：ハリー・ダヴェンポート

作品の意義

『牛泥棒』は人間の本質に迫る作品であり、特に群衆による無法な行動が持つ危険性を描き出しています。私刑の恐怖や、選択した行動が持つ影響力について考えさせられる物語です。また、強いメッセージ性を持つこの映画は、観衆に人間の倫理観や良心についての重要性を問いかけています。時代を超えて多くの人々に影響を与えるこの名作は、西部劇の枠を超えた普遍的なテーマを扱った作品として高く評価されています。

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