アースリング

アースリング (Earthling)

デヴィッド・ボウイによる19枚目のスタジオ・アルバムで、1997年に発表されました。

概要

本作は、当初予定されていた前作『アウトサイド』の続編『インサイド』の企画が頓挫した後に、全く新しいコンセプトのもと制作されました。これは、『アウトサイド』が商業的な成功を収められなかったことが理由とされています。

音楽的には、リリース当時に世界的に隆盛を誇っていたドラムンベースやジャングルの要素を積極的に取り入れたデジタルサウンドが最大の特色です。ボウイ自身は、本作について、アルバム制作に先立って行われた久々の大規模なワールド・ツアー、アウトサイド・ツアーで得た刺激的で興奮に満ちた経験を凝縮した作品であると語っています。

シングルカットされた楽曲「Little Wonder」のミュージック・ビデオには、ボウイの創造した架空のキャラクター、ジギー・スターダストのクローンらしき存在が登場し、話題を呼びました。また、アルバム収録曲の歌詞には、作家ウィリアム・S・バロウズからの強い影響が見受けられます。バロウズが多用したカットアップ技法を思わせる表現に加え、彼の著作に対するオマージュと解釈できる箇所も歌詞の随所に散りばめられています。

各国盤・再発

各国の初回限定盤には、独自の仕様やボーナス・トラックが収録されました。

日本初回限定盤: 三方背ボックス仕様となっており、アルバムのアートワークに関連したポスターが封入されました。さらに、特定の楽曲のリミックス音源がボーナス・トラックとして1曲追加収録されています。
香港特別版: アルバム本編とは別に、「Seven Years In Tibet」のマンダリン（標準中国語）バージョンを収録したボーナス・ディスクが付属しました。
韓国盤: アルバムの最後に、クイーンとの共作である「Under Pressure」のスタジオ・バージョンがボーナス・トラックとして追加収録されています。

後の再発に関しても特筆すべき点があります。

2004年（英ソニー）: リミックス音源やライブ・バージョンを多数収録したボーナス・ディスクを伴う限定盤として再リリースされました。
2007年（日本）: 2004年の英ソニー盤の内容に準拠しつつ、紙ジャケット仕様の限定盤として日本国内で発売されました。

収録曲

アルバムには以下の楽曲が収録されています。

リトル・ワンダー
ルッキング・フォー・サテライト
バトル・フォー・ブリティン
セヴン・イヤーズ・イン・チベット
デッド・マン・ウォーキング
テリング・ライズ
ラスト・シング・ユー・シュッド・ドゥ
アイム・アフレイド・オブ・アメリカンズ
ロウ
* テリング・ライズ (アダム・F・ミックス)

『アースリング』は、当時の最先端のサウンドを取り入れ、自身のキャリアにおいても新たな地平を切り拓いた挑戦的な作品として、ボウイの多面性を示す重要なアルバムの一つとなっています。

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