アーチー・シェップ

アーチー・シェップ（Archie Shepp）

アーチー・シェップは1937年5月24日生まれのアメリカのジャズサックス奏者で、特にフリー・ジャズの分野で知られています。彼はフロリダ州の出身で、アフリカ音楽の影響を受けながら独自の音楽スタイルを築きました。シェップは、セシル・テイラーやジョン・コルトレーンなどの著名なジャズミュージシャンと多くの共演を果たし、その革新性で高く評価されています。

来歴

シェップはペンシルベニア州フィラデルフィアで育ち、最初は俳優を目指していました。彼はバーモント州にあるゴダード・カレッジで演劇を学びながら、サックスを演奏し始めました。大学卒業後、ニューヨークに移り住み、短い間ラテン・ジャズに触れた後、1960年からフリー・ジャズの巨匠セシル・テイラーのバンドに加入しました。

1962年、シェップはビル・ディクソンとの共同名義で、初のリーダー作品『アーチー・シェップ&ビル・ディクソン・カルテット』をサヴォイ・レコードから発表しました。このアルバムの作曲はオーネット・コールマンによるもので、シェップの音楽活動が本格化するきっかけとなりました。

1964年に発表されたシェップの初のソロアルバム『フォア・フォー・トレーン』は、ジャズの巨匠ジョン・コルトレーンのサポートを受けて制作されました。このアルバムは、彼の音楽の新しい方向性を示す重要な作品となりました。シェップはその後もコルトレーンのアルバム『至上の愛』の録音セッションに参加し、彼の音楽における存在感をさらに強めました。

1967年には、ドイツのドナウエッシンゲン音楽祭でコルトレーンにオマージュを捧げる演奏を行い、その模様は後に『ワン・フォー・ザ・トレーン』というタイトルでアルバムに収録されました。この演奏は日本のファンにも知られています。

年が経つにつれて、シェップはフランスのパリに移住し、そこでフリー・ジャズの新しいスタイルを探求しました。1971年にはマサチューセッツ大学アマースト校で音楽の教授として教壇に立ち、これから30年間にわたる教育活動を開始しました。また、彼はアフリカ系アメリカ人研究の教授としても教鞭を取っています。

1972年には、アッティカ刑務所の暴動をテーマにしたアルバム『アッティカ・ブルース』を発表し、音楽を通じて人権問題を訴えました。このアルバムには、彼の人権に対する意識が色濃く表れています。

シェップは1970年代に入ると、ジャズの他にブルースやR&B、ファンクなどの音楽スタイルにも積極的に取り組み、彼の音楽表現はますます多様化しました。1977年にはホレス・パーランと共にスピリチュアルな作品『ゴーイン・ホーム』を制作し、その後も様々なアルバムをリリースしました。

シェップは1978年に日本のレーベル「デンオン」と契約し、以降も数多くの作品を録音。特に、1978年に行われた中野サンプラザでのライヴは、シェップのファンにとっての名演として知られています。1980年代には、再びヨーロッパのミュージシャンとの共演に取り組み、彼の音楽的幅を広げていきました。

1995年以降、シェップは日本のレーベル「ヴィーナス・レコード」にてバラード作品を3作レコーディングし、2004年には自身のレーベル「Archie Ball」を立ち上げるなど、常に新しい挑戦を続けています。彼の音楽は、自由な表現と伝統的な要素を融合させた独自のスタイルを構築し続けています。

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