マサチューセッツ大学アマースト校

マサチューセッツ大学アマースト校（The University of Massachusetts Amherst）は、1863年に設立されたマサチューセッツ州を代表する州立大学です。アマースト町に本部を置き、5つの大学から構成されるマサチューセッツ大学システム（UMassシステム）の旗艦校として、約90の学部と約65の大学院プログラムを提供しています。他のキャンパスと比較して入学資格が厳しく、高い学術レベルを誇ります。

大学の特色

マサチューセッツ州は、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学といった名門大学が数多く存在する地域です。アマースト大学、スミス大学、マウント・ホリヨーク大学など近隣の大学と連携し、ファイブカレッジ・コンソーシアムを形成しています。

世界大学ランキングでは、Times Higher Educationで201-250位、QS World University Rankingで246位にランクインしています。特に、コンピュータ科学、経営学、ナノテクノロジー、高分子科学などの分野で全米トップクラスの評価を受けており、スポーツマネジメント学科は世界ランキングで1位を何度も獲得しています。

沿革

1863年、モリル・ランドグラント法に基づき、マサチューセッツ農科大学（Massachusetts Agricultural College）として設立されました。初期は310エーカーの土地、4人の教授陣、4つの木造校舎、56人の学生という小規模な大学でした。初代学長には、クラーク博士として知られるウィリアム・スミス・クラークがいます。

1931年にマサチューセッツ州立大学（Massachusetts State College）に改称し、1947年に現在のマサチューセッツ大学となりました。その後も大学は拡大を続け、1954年には学生数が4,000人を突破、1964年には10,500人を超えるなど、急速に成長しました。2007年には約26,000人の学生が在籍しています。

1962年にウースター校、1964年にボストン校、1991年にローウェル校とダートマス校が開校し、マサチューセッツ大学システムが整備される中で、アマースト校は中核的な役割を担うようになりました。1974年には、世界で2番目の高さを誇る図書館ビルであるW・E・B・デュボイス図書館が建設されました。2003年には、アマースト校はマサチューセッツ州議会によってシステムの本校に指定され、さらなる発展を目指しています。

学部

マサチューセッツ大学アマースト校は、以下の10学部で構成され、90以上の学士課程、68の修士課程、50の博士課程を提供しています。

School of Education
College of Engineering
College of Humanities and Fine Arts
Isenberg School of Management
College of Natural Resources and the Environment
College of Natural Sciences and Mathematics
School of Nursing
School of Public Health and Health Sciences
College of Social and Behavioral Sciences
Stockbridge School of Agriculture

また、優秀な学生のためのCommonwealth Honors Collegeがあり、一定のGPA基準を満たす学生が所属し、高度な授業を受けることができます。

ランキングと評価

Times Higher Educationの世界大学ランキングでは、2012年に世界64位にランクインしました。また、2011年には世界大学評判ランキングで19位にランクインしています。工学および技術分野では世界26位、自然科学分野では48位、人文科学分野では33位にランクインするなど、多岐にわたる分野で高い評価を得ています。

学部工学プログラムは、博士号を授与する学校の中で全米56位にランクインしており、タフツ大学やノースイースタン大学といった近隣の大学よりも高い評価を受けています。

アイゼンバーグ経営学部は、北東部の公立大学の中で非常に評価が高く、学部ビジネスプログラムは全米でトップクラスとされています。

主な卒業生

著名な卒業生には、ノーベル物理学賞を受賞したラッセル・ハルス、ゼネラル・エレクトリック（GE）の元CEOであるジャック・ウェルチ、ボストン市長を務めたトーマス・メニーノなどがいます。また、俳優のリチャード・ギア、ボストン・レッドソックスのゼネラルマネージャーであるベン・チェリントン、プロ野球選手のロン・ビローン、グレッグ・ラロッカ、バスケットボール選手のジュリアス・アービング、メジャーリーグ投手のジェフ・リアドン、総合格闘家のロクサン・モダフェリ、日本の銀行家である三島彌太郎、北海道にジャガイモを普及させた湯地定基など、多岐にわたる分野で活躍する人材を輩出しています。

学生

2007年秋現在、学部生20,114人、大学院生5,759人、合計25,873人の学生が在籍しています。学部生の約82%が白人、8.5%がアジア系、4.6%が黒人、4%がヒスパニックです。留学生の割合は学部生で約1%、大学院生で約22%です。

入学競争率は高く、2007年度の合格率は66%でした。入学資格として、SATのスコアの他、高校のGPAが3.48以上と高い水準が求められています。

教員

2007年秋現在、186人の非常勤講師を含む1,361人の教員が在籍しています。吉原直毅教授（経済学者）のように、各分野で優れた研究成果を挙げている教員が多数います。

所在地とアクセス

マサチューセッツ大学アマースト校は、ボストン市から西に約145km、ニューヨーク市から北東に約280kmの場所に位置しています。ボストンからは車で約2時間、高速バスで約4時間でアクセスできます。最寄りの空港はブラッドレー国際空港で、車で約40分です。公共交通機関を利用する場合は、私営のピックアップサービスが利用できます。また、アマースト市のダウンタウンにはアムトラックの駅がありますが、ボストンやニューヨークへの移動には高速バスの方が便利です。

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