アーネスト・ウィル作戦

アーネスト・ウィル作戦：ペルシア湾のタンカー護衛

アーネスト・ウィル作戦は、1987年7月24日から1988年9月26日にかけて、イラン・イラク戦争中にアメリカ軍が実施した、クウェートのタンカー船団護衛作戦です。ペルシア湾におけるイラン軍およびイラク軍による船舶攻撃からの防衛を目的とし、アメリカ海軍を中心に、空軍の早期警戒管制機や陸軍の特殊作戦航空部隊も参加しました。

作戦の背景

イラン・イラク戦争中、両国はペルシア湾を航行するタンカーへの攻撃を繰り返していました。特にクウェートは、国土がペルシア湾の奥に位置し、産油量も多かったため、タンカー攻撃による被害が深刻でした。

1986年11月、クウェート政府は国際連合安全保障理事会の常任理事国に対し、タンカー保護を要請しました。その結果、アメリカが保護を引き受けることになりました。しかし、アメリカの法律では、アメリカ船籍以外の民間船舶にアメリカ海軍の護衛をつけることができません。そこで、クウェートのタンカーをアメリカ船籍に変更し、アメリカ国旗を掲げて航行させることで、アメリカ軍の護衛を可能にしました。

作戦開始前の1987年5月17日には、イラク軍の誤射により、アメリカ海軍のミサイルフリゲート「スターク」がエクゾセミサイルの被弾するという事件も発生しており、ペルシア湾の航行は極めて危険な状態でした。

作戦の経過

1987年7月24日、アーネスト・ウィル作戦が開始されました。クウェートのタンカー「al-Rekkahre」は、アメリカのタンカー「Bridgeton」としてペルシア湾を航行しました。同年10月15日には、タンカー「Sea Isle City」がイランのシルクワームミサイル攻撃を受け、被弾し18名が負傷しました。これに対し、アメリカ海軍は反撃としてイランの石油プラットフォーム2基を攻撃しました。

1988年4月14日には、護衛任務中のフリゲート「サミュエル・B・ロバーツ」が触雷しました。機雷はイラン軍のものと判明したため、アメリカ軍は4月18日にイラン軍に対し大規模な報復攻撃（プレイング・マンティス作戦）を実施しました。

同年7月3日には、ホルムズ海峡付近でミサイル巡洋艦「ヴィンセンス」がイラン航空655便を誤って撃墜し、乗員乗客290名全員が死亡するという痛ましい事件も発生しました。

作戦の終結

イラン・イラク戦争は1988年8月20日に停戦に至りましたが、アーネスト・ウィル作戦はその後も継続されました。最後のタンカー護衛は1988年9月26日に行われ、作戦は終了しました。

アーネスト・ウィル作戦は、ペルシア湾の安定化に貢献した一方で、数々の事件や事故を引き起こし、多くの犠牲者を出した作戦でもありました。

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