アーネスト・トンプソン・シートン

アーネスト・トンプソン・シートンの生涯と業績

アーネスト・トンプソン・シートン（1860年8月14日 - 1946年10月23日）は、イギリス出身の博物学者、作家、画家であり、特に日本での著作『シートン動物記』で広く知られています。シートンは自身による挿絵を100点以上描き、作品の魅力を高めており、またボーイスカウト運動にも深く関与していました。

幼少期と教育

シートンはイギリスのサウスシールズで12人兄弟の末っ子として生まれました。父親のジョセフは船会社を営んでいましたが、経営がうまくいかず、会社が破産した後に家族はカナダへ移住します。父親は早期に体調を崩し、トロントに引越し、会計士としての道を歩み始めました。シートンは若い頃から活動的で、学校の後は森を探検することが好きでした。

高校を卒業したシートンは博物学者を目指しましたが、厳格な父親に反対されたため、絵画の道に進むことになります。父親は非常に厳格なキリスト教徒で、多くの制約を課し、シートンに辛い思いをさせたとされています。しかし、彼はオンタリオ美術学校を優秀な成績で卒業します。

イギリスでの学び

1879年、シートンは画家としての道を歩むためイギリスに渡り、ロイヤル・アカデミー絵画彫刻学校に入学します。この時に大英博物館と出会い、再び博物学者の道を志すようになります。博物館の図書館に入りたいシートンは、特別な許可を得て猛勉強を重ね、博物学の知識を深めました。

しかし、体調を崩してトロントに戻ることになり、しばらくは弟の農場で動物観察を行います。1883年にはニューヨークの出版社で動物の絵を描く仕事を開始し、やがて本格的に創作活動を始めることになりました。

動物との出会い

1890年にはパリへ行きさらなる技術を磨きますが、恋しい大自然に引かれてカナダへ戻ります。1892年から5年間マニトバ州政府の博物学者として活動し、博物学の専門書を2冊刊行します。その後アメリカに戻り、1893年には狼ロボとの出会いがあります。これは彼にとって重要な出来事であり、その後、シートンは特にこの狼との探索をもとに多くの物語を創作しました。

文学とボーイスカウト運動

1898年、シートンは『私の知る野生動物』を発表し、全米で名声を得ます。この作品集にはシートンの豊かな動物観察による物語が収められ、彼は講演活動を開始。1902年には少年キャンプを開催し、『ウッドクラフト・インディアンズ』という少年団を創設し、自然を尊重する教育を広めました。

また、彼の提案するウッドクラフトは自然とインディアンの生活を理想としており、これが後にボーイスカウトの設立に影響を与えることになります。

晩年と遺産

シートンはさまざまな社会活動に関与し、時には意見の対立からボーイスカウト運動から脱退することもありましたが、自然教育の普及に尽力しました。彼は1930年にニューメキシコ州に移住し、老衰により1946年に亡くなりました。

彼の研究は北米インディアンについても及び、その業績は今も評価されています。シートンの作品や教育思想は、自然保護や動物愛護の理念を後世へと繋げていくものであり、彼の貢献は今日でも色あせないものです。

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