アームストロング・ホイットワース

アームストロング・ホイットワースについて

アームストロング・ホイットワース（Sir W G Armstrong Whitworth & Co Ltd）は、20世紀前半にイギリスのニューカッスル・アポン・タインに拠点を置き、多岐にわたる製造業を手がけていた企業です。特に、武器や船舶、機関車、航空機の製造が知られています。1927年にヴィッカースと合併し、名称をヴィッカース・アームストロングに変更しましたが、その前の歴史も非常に興味深いものです。

沿革

アームストロング・ホイットワース社は、1897年にウィリアム・アームストロングとジョセフ・ホイットワースによる製造会社の合併により設立されました。当初の事業は幅広い分野に及んでいましたが、1902年には初めて自動車の製造を開始し、その後、1913年には航空部門を設け、1920年には「アームストロング・ホイットワース・エアクラフト」として独立した子会社が設立されるに至りました。この航空部門は、その後のイギリスの航空機産業にも大きな影響を与えました。

また、1922年から1925年にかけては、ニューファンドランド自治領のディア湖で水力発電所の建設を支援し、電力供給だけではなく、その地域の林業の発展にも寄与しました。残された防衛産業は、1919年にJ・D・シドレーにより買収され、アームストロング・シドレーという新しい会社として独立しました。

造船業

アームストロング・ホイットワースは、世界各国の海軍向けに多くの艦船を建造しました。特に、日本やロシア、アメリカ、ノルウェーなどへの多くの艦船の発注が記録されており、以下のような艦船がその一部です。

• - ロシア帝国海軍向け:

- 砕氷船エルマーク（1898年）
- 砕氷船アンガラ（1899年）

• - 大日本帝国海軍向け:

- 巡洋艦筑紫（1882年）
- 防護巡洋艦浪速（1885年）
- 防護巡洋艦高千穂（1886年）
- 戦艦八島（1896年）
- 装甲巡洋艦出雲（1899年）

• - イギリス海軍向け:

- 戦艦エジンコート（1913年）
- 戦艦ネルソン（1925年）

このように、アームストロング・ホイットワースは軍艦の設計・製造において卓越した技術と実績を持っていました。

機関車製造

また、同社は幹線鉄道や工業用の鉄道向けに多くの蒸気機関車及びディーゼル機関車も製造しました。名門鉄道会社との連携により、さまざまな車両が生まれています。例えば、グレート・ウェスタン鉄道向けの5700クラスや、ロンドン・ミッドランド・アンド・スコティッシュ鉄道用のスタニアクラス5などがその一例です。

自動車製造

1904年からは、ウィルソン・ピルチャー社の事業を引き継ぎ、自動車の製造も行いました。この自動車部門は1919年にシドレー・ディージー社と合併し、アームストロング・シドレーとして新たなスタートを切ります。

航空機製造

さらに、アームストロング・ホイットワースは航空機製造にも進出しました。自社で開発した数多くの航空機が世界中で活躍しました。特筆すべき機種として、アームストロング・ホイットワース シスキンやアトラス、アーゴシー、ホイットレイなどがあります。これらの航空機は、軍用や民間用として多くの功績を残しました。

結論

アームストロング・ホイットワースは、イギリスの20世紀前半において、兵器や交通機関の分野において重要な役割を果たした企業であり、その多岐にわたる製品は今でも多くの人々に影響を与えています。1927年の合併までの道のりは、今日の技術や産業にとって重要な歴史的背景をもたらしました。

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