アール・ラウアー・バッツ

アール・ラウアー・バッツについて

アール・ラウアー・バッツ（1909年7月3日 - 2008年2月2日）は、アメリカの政治家であり、特にリチャード・ニクソン政権とジェラルド・フォード政権でアメリカ合衆国の農務長官を務めたことで知られています。彼の政策や発言は農業だけでなく、政治的にも注目を集めました。

生い立ちと初期の経歴

バッツは、インディアナ州アルビオンで生まれ育ちました。彼の家族は160エーカーの農場を経営しており、幼少期から農業に親しむ環境にありました。1927年にワワカ高校を卒業後、彼はパデュー大学に進学し、1932年に農学の学位を取得。その後、1937年には農業経済学で博士号を取得しました。大学時代には友愛会の一員として活動をしていました。

1948年にはアメリカ農業経済学協会の副会長に就任し、1951年には農場経営に関連する組織の副会長としても尽力しました。アイゼンハワー政権下では農務次官補を務め、国際連合食糧農業機関の代表としても活動しました。その後、母校の農学部学部長として教育に貢献する道を選びました。

農務長官としての役割

1971年、バッツはリチャード・ニクソン大統領によって農務長官に任命されました。彼の任期中、アメリカの農業政策は大きく見直され、農民に対して「拡大せよ、拡張せよ」というスローガンが掲げられました。これは、農業の規模を拡大することを促進し、農作物の生産性を向上させるものでした。その結果、農業関連企業は成長したものの、小規模農家にとっては厳しい状況が続くこととなりました。

任命当初、食糧価格は急騰しており、バッツは迅速な対策を講じました。彼の施策は功を奏し、1972年にはソビエト連邦からの穀物輸入が増えるなど、価格は安定を見せました。1974年にはニクソン大統領の引退後もフォード政権で農務長官としての使命を続けました。

物議を醸した発言

バッツの政治キャリアには、いくつかの物議を醸す発言が伴いました。1973年、彼は日本の食料自給率の低さに関して挑発的なコメントをし、食料輸出を停止すると脅す発言が報じられました。また、1974年のローマでの世界食糧会議では、教皇パウロ6世に対する軽口が問題視され、謝罪を求められる事態に発展しました。

さらに、1976年には人種に関する不適切な発言が報じられ、これが特に大きな波紋を呼びました。カリフォルニアに向かう飛行機内での会話の中で、バッツは黒人に対する侮蔑的な発言をしたと報じられ、これが起因して10月4日に辞任を余儀なくされました。メディアはこの事件を大きく取り上げ、当時の政治における人種差別に関する意識の変化を浮き彫りにしました。

晩年と死

農務長官を辞任後、バッツはインディアナ州ウェストラファイエットに戻り、パデュー大学の名誉学部長としての役割に就きました。しかし、1981年には収入を過少申告したとして税法違反で起訴され、禁固刑および罰金を科されることとなります。これにより彼の名声はさらに傷つきました。

2008年2月2日、バッツはワシントンD.C.で息子の自宅にて亡くなりました。彼の人生は、アメリカの農業政策に大きな影響を与えた一方、その発言や行動が政治的議論を引き起こす要因ともなった波乱に満ちたものでした。

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