アーロン・スライト

アーロン・スライト (1966年1月19日生まれ) は、ニュージーランド・マスタートン出身の伝説的なオートバイレーサーです。

彼の名は、特に鈴鹿8時間耐久ロードレースでの輝かしい功績によって広く知られています。1993年から1995年にかけて3年連続優勝という偉業を達成し、これは2015年から2018年まで中須賀克行選手が4連覇を達成するまで、破られない記録でした。アレックス・ロウズ選手も2016年から3連覇を達成しており、スライト選手の3連覇は、現在も8耐の歴史において偉大な記録として称えられています。

しかし、スライト選手の功績は8耐だけではありません。彼はスーパーバイク世界選手権においても、長年にわたってトップレベルで活躍しました。1991年にオーストラリアスーパーバイク選手権でチャンピオンを獲得した後、世界選手権にフル参戦。通算13勝、87回の表彰台、8回のポールポジションという輝かしい成績を残しました。

彼の世界選手権でのキャリアは、数々のドラマに彩られています。1992年にはチーム・カワサキ・オーストラリアで初優勝。その後、カストロール・ホンダチームに移籍し、1995年にはアルバセテでホンダでの初勝利を収めました。1996年にはシリーズ2位、1997年にはシリーズ3位と、常に上位を争う強さを示しました。

最も記憶に残るシーズンは、1998年でしょう。この年、スライト選手はチャンピオン獲得まであと一歩に迫りました。しかし、モンツァでのファイナルラップでのエンジン故障、フィリップアイランドでのクラッシュなど、幾多の不運が重なり、僅か5.5ポイント差でカール・フォガティ選手にチャンピオンの座を奪われてしまいました。それでも、ミサノではレース1、レース2の両方で優勝するなど、その実力は折り紙付きでした。

1999年シーズンは勝利こそなかったものの、ホッケンハイムでは最終ラップでフォガティ選手をパスしてトップでフィニッシュラインを越えました。しかし、レース中の事故による赤旗掲示でレース結果は1周前の順位が適用され、勝利は幻となりました。皮肉にも、この時点ではフォガティ選手は既にチャンピオンを確定させており、勝利は必要ありませんでした。

2000年2月、スライト選手は脳動静脈奇形による脳出血で緊急手術を受けました。一命を取り留めたものの、シーズンの序盤を欠場せざるを得なくなり、このシーズン限りで世界選手権から引退することになりました。

2001年にはAMAスーパーバイクのデイトナ200に参戦した後、4輪レースへ転向。イギリスツーリングカー選手権、ASCAR、イギリスGT選手権など、さまざまなカテゴリーで活躍しました。現在もニュージーランドの自動車番組「AA Torque」に出演するなど、モータースポーツ界で精力的に活動しています。

アーロン・スライトは、才能、努力、そして不運を乗り越えた、まさにレジェンドと言えるレーサーです。彼のレース人生は、多くのファンに感動と興奮を与え続け、モータースポーツ史にその名を刻んでいます。彼の功績は、これからも語り継がれていくでしょう。

もう一度検索