アーロン・ピコ

概説

アーロン・ピコ（Aaron Pico、1996年 9月23日 - ）は、アメリカ合衆国の総合格闘家であり、かつては卓越したレスリング選手、アマチュアボクサーとしても活躍しました。カリフォルニア州ウィッティアで生まれ育ち、現在はジャクソン・ウィンクMMAに所属しています。

幼少期からレスリングで頭角を現す

ピコの格闘技キャリアは、わずか4歳で始めたレスリングに端を発します。彼はフォークスタイル、フリースタイル、グレコローマンと、レスリングの主要な三つのスタイルすべてを習得し、カデット（U17）およびジュニア（U20）の各年代で、これら全てのスタイルにおいて国内王者の座を獲得するという、驚異的な才能と努力を示しました。

国際舞台でもその力は発揮され、2013年の世界カデット選手権では、決勝で日本の藤波勇飛選手を下し、見事金メダルを獲得しました。ジュニア時代も輝かしい成績を残し、全米ジュニア選手権では複数回にわたりフリースタイルで優勝。特に2014年と2015年の決勝では、後に大学レスリング界で最高の栄誉であるダニー・ホッジ賞を連続受賞するザイン・レザーフォード選手に勝利しています。

2014年の世界ジュニア選手権（フリースタイル66kg級）では、決勝で後にリオデジャネイロオリンピック金メダリストとなるハサン・ヤズダニ選手に惜しくも敗れましたが、銀メダルを獲得しました。翌2015年の世界ジュニア選手権でも銅メダルを獲得するなど、世界のトップレベルで常にメダル争いに加わりました。

19歳となった2016年には、フリースタイルレスリングのアメリカ代表として、史上40年以上の歴史の中で初めて10代でオリンピック国内予選に出場するという歴史的な快挙を成し遂げました。NCAAディビジョン1王者や全米フリースタイル王者といった強豪を次々と破り決勝に進出しましたが、オリンピック出場の切符は惜しくも逃しました。

他競技での経験

レスリングと並行して、ピコは10歳からボクシングも始めています。アマチュアボクシングでも実績を残しており、2008年には全米PAL選手権で優勝。2009年には全米ジュニアゴールデングローブで優勝し、さらに同大会の最優秀選手賞にも輝きました。

また、アマチュア総合格闘技の分野でも経験があり、2008年の全米パンクラチオン選手権、2010年の欧州パンクラチオン選手権でそれぞれ優勝しています。

プロ総合格闘技への挑戦

卓越したレスリングとボクシングのバックグラウンドを持つアーロン・ピコは、大きな期待を背負ってプロ総合格闘技の世界に足を踏み入れました。2014年にはナイキとシューズ契約を結び、同年11月には大手プロモーションであるBellator MMAおよびその親会社バイアコムと契約を締結しました。

Bellatorでのキャリア

2017年6月24日、Bellator NYCというビッグイベントでプロデビューを果たしましたが、このデビュー戦は予想外の結果となりました。ザック・フリーマンとの対戦で、試合開始わずか24秒、右アッパーでダウンしたところにギロチンチョークを極められ、一本負けを喫しました。このショッキングな敗戦は、ピコのキャリアにおいて大きな教訓となりました。

しかし、ピコはその敗戦から立ち直り、着実に戦績を重ねていきます。2021年11月12日のBellator 271では、当時フェザー級ランキング8位だった元LFAフェザー級王者のジャスティン・ゴンザレスと対戦し、3-0の判定勝ちを収めました。

2022年10月1日のBellator 286では、フェザー級ランキング6位のジェレミー・ケネディと対戦。優位に進めているかと思われた1ラウンド終盤、タックルを受けた際に左肩を脱臼するというアクシデントに見舞われました。ラウンド終了後、セコンドが肩を処置しようと試みましたが、ドクターが試合続行は不可能と判断し、1ラウンド終了時にTKO負けとなりました。

負傷からの復帰を経て、2024年2月24日に開催されたPFL vs. Bellator: Champsイベントに出場。当初予定されていた対戦相手の変更がありましたが、ヘンリー・コラレスと約5年ぶりに再戦し、グラウンド状態からの的確な肘打ちにより1ラウンドTKO勝利を収め、再び存在感を示しました。

今後の展望

アマチュア時代から「神童」とも称されるほどの才能を持ち、レスリング、ボクシング、アマチュアMMAと様々な分野で実績を残してきたアーロン・ピコ。プロ総合格闘技のキャリアでは、デビュー戦の敗北や怪我によるキャリアの停滞もありましたが、その強力なレスリングをベースにしたグラウンドコントロールと、着実に向上する打撃技術を武器に、Bellatorフェザー級戦線で重要な位置を占めています。今後の彼の更なる活躍が期待されています。

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