イアン・アシュレイ

イアン・アシュレイ：クラッシュと栄光の軌跡

イアン・ヒュー・ゴードン・アシュレイ (1947年10月26日 - ) は、イギリスを代表するレーシングドライバーとして知られています。F1では、トークン、ウィリアムズ、BRM、ヘスケスといった名門チームに所属し、華々しい活躍を見せると同時に、数々のアクシデントに見舞われた波乱に満ちたキャリアを歩みました。

西ドイツ・ヴッパータールで生まれたアシュレイは、1966年、ジム・ラッセル・レーシングスクールに入学し、レーシングドライバーとしてのキャリアをスタートさせます。彼のドライビングは、並外れた速さを誇る一方、その攻撃的なスタイルから度々クラッシュを繰り返すため、「クラッシュレイ(Crashley)」というニックネームで呼ばれることになります。

フォーミュラ5000への参戦を経て、1973年にはチャンピオンに輝き、その実力を証明しました。そして、1974年、F1へとステップアップを果たします。ウィリアムズに移籍した1975年には、ニュルブルクリンクでのドイツグランプリのプラクティスでクラッシュ、両足首を骨折する重傷を負います。その後も、1977年のカナダグランプリでは、激しいクラッシュによりバリアーを破壊、テレビ塔に激突するという大惨事を起こしました。このクラッシュを機に、アシュレイはF1からの引退を余儀なくされます。

F1引退後、アシュレイはアメリカでプライベートジェットのパイロットとして第二の人生を歩みますが、1993年にはレースへの情熱を捨てきれず、イギリスツーリングカー選手権に復帰します。ボクスホールをドライブし、その後はサイドカー選手権やTVRタスカン・チャレンジなど、様々なカテゴリーで活躍の場を広げました。

彼のレースへの情熱は年齢を重ねても衰えることはありませんでした。2009年には、40年以上ぶりにシルバーストンサーキットで開催されたフォーミュラ・フォードの一戦、ウォルター・ヘイズ・トロフィーに参戦し、エルデン・MK8を駆り、再びサーキットを駆け巡りました。

現在、アシュレイはシルバーストン・エクスペリエンスでプロドライバーとして活躍しています。多くのドライバー志望者やモータースポーツファンを乗せて、サーキットを走行する体験を提供し、後進の育成にも携わっています。

CARTへの挑戦も忘れてはなりません。1985年にはマイアミグランプリでCARTにデビュー。翌1986年にはインディ500へのエントリーも果たしましたが、出走には至りませんでした。この年、CARTでは3戦に出走し、ミッドオハイオでは9位入賞を果たすものの、他の2戦はリタイアに終わっています。さらに、この年にはポコノ・レースウェイでのインディ・ライツにも参戦し、6位という好成績を残しています。翌1987年にはマイアミ戦に出走するも、ドライブトレーンのトラブルによりリタイアという結果に終わっています。

数々のクラッシュを経験し、幾多の困難を乗り越えてきたイアン・アシュレイ。彼のキャリアは、スピードへの飽くなき追求と、モータースポーツへの並々ならぬ情熱を象徴するものです。その激しいドライビングスタイルと、決して諦めない不屈の精神は、多くのファンに感動を与え続け、伝説として語り継がれていくことでしょう。

もう一度検索